原著

3軸加速度計システムを用いた歩行速度の違いによる1日の歩行時間の評価

三浦早織, 佐竹將宏, 田村 陽, 池田光範, 川越厚良, 菅原慶勇, 高橋仁美, 本間光信, 坂田俊一, 塩谷隆信
Jpn J Compr Rehabil Sci 4: 73-79, 2013

【目的】本研究の第一の目的は,プログラムを改良した3軸加速度計システムを用い,日常生活における歩行速度を歩行速度別に定量化することであり,第二の目的は,そのシステムを用いて若年健常者,老年健常者,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の1日における遅い歩行時間と速い歩行時間を検討することである.
【方法】対象は若年健常者26名,老年健常者15名, 安定期COPD 患者11名であった.3軸加速度計システム(A-MESTM)を用い,歩行・立位・座位・臥位の各時間を計測した.次に解析ソフトの閾値を変化させて歩行時間を遅い歩行と速い歩行に分けて評価した.
【結果】歩行速度は2km/hを境に判別され,遅い歩 行は2km/h未満,速い歩行は2km/h以上であった. 歩行時間のうち約95%が遅い歩行であった.安定期 COPD患者の速い歩行時間は,健常若年者および健常高齢者の速い歩行時間と比較して有意に短かった(p<0.01).
【結論】新しい3軸加速度計システムは,日常生活に おける歩行時間を遅い歩行(<2km/h)と速い歩行 (>-2km/h)に判別することが可能である.

【キーワード】身体活動時間,3軸加速度計,2km/h 未満の遅い歩行,2km/h 以上の速い歩行,歩行時間

第4巻 目次