症例報告

生体肝移植後にcritical illness polyneuropathy を発症した4例のリハビリテーション

新藤恵一郎, 杉山 謙, 西嶋一智, 古澤義人, 近藤健男, 出江紳一
Jpn J Compr Rehabil Sci 4: 67-72, 2013

肝移植後critical illness polyneuropathy (CIP) の報告は少なく,殊にリハビリテーション(以下,リハ)の詳細は記載されていない.本症例報告では,生体肝移植後に四肢及び呼吸筋の筋力低下で発症したCIPの4例を報告する.リハ治療は,ベッドサイドでの関節拘縮予防,廃用性筋力低下及び肺合併症の予防から開始し,安全基準を設定して徐々に運動の負荷を増大させた.電気生理学的検査では,運動神経優位の軸索変性所見を四肢に認めた.リハ治療では完全には回復しなかったが,全例で筋力が徐々に改善し,歩行補助具を要する例も含めて歩行可能となり,バーセル指数は90点に達した.CIPは肝移植後に注意すべき合併症であり,四肢あるいは呼吸筋の筋力低下を呈した患者ではCIPを疑うことが重要である.肝移植後早期からの継続的なリハが2次的廃用症候群を防止し,良好な機能的帰結をもたらすと考えられる.

【キーワード】生体肝移植,リハビリテーション, critical illness polyneuropathy,機能的帰結,運動負荷

第4巻 目次