原著

口腔・咽頭感覚を利用した質問紙法による食品テクスチャー評価の検討

山田康平, 近藤和泉, 尾崎健一, 角 保徳, 田中貴信
Jpn J Compr Rehabil Sci 4: 1-6, 2013

【目的】医療および在宅の現場で簡便に口腔咽頭感覚を利用して食事を評価できるよう,食品テクスチャーに対して標準化された官能試験法を作成する目的で,既存の質問紙に新たな項目を追加し,その信頼性および基準関連妥当性の検討を行った.
【方法】健常成人20名を対象に均質浸透法を利用して物性を3段階に調整した被験食品を咀嚼嚥下してもらった後に,9 項目からなる質問紙に答えてもらった.
【結果】信頼性の統計値であるκは最大値が質問(1)の0.523,最小値が質問(2)の0.281であった.基準関連妥当性は,複数の質問項目と「かたさ応力」の間に有意な関係を認めた.一方,「付着性」および「凝集性」との間にはほとんど有意な相関を認めなかった(p ≦ 0.05).
【結論】「かたさ応力」に関連する項目の基準関連妥当性を確認することができた.今後は,「付着性」および「凝集性」に関する質問項目の検討ならびに信頼性のさらなる向上が必要である.

【キーワード】摂食嚥下障害,食品テクスチャー,質問紙法,口腔咽頭感覚

第4巻 目次