原著

リサージュ図形を用いた分回し,遊脚期骨盤挙上,前足部接地歩行の定量化

伊藤慎英, 加賀谷 斉, 才藤栄一, 大塚 圭, 山田純也, 谷川広樹, 田辺茂雄, 伊藤直樹, 青木健光, 金田嘉清
Jpn J Compr Rehabil Sci 3: 78-84, 2012

【目的】トレッドミル歩行の三次元動作解析で得られるリサージュ図形を用いて異常歩行を定量化し,歩行障害の治療に役立てること.
【方法】健常者39 名,片麻痺患者30 名を対象に, 三次元動作解析装置を用いたトレッドミル歩行分析を実施した.この歩行分析から得られたリサージュ図形から分回し,遊脚期骨盤挙上,前足部接地の各異常歩行の指標を作成し,歩行分析に習熟した理学療法士の視診評価と比較し,その指標の妥当性を検討した.
【結果】全ての指標において, 片麻痺患者は健常者よりも有意に大きかった(p<0.001).各異常歩行の指標値と視診評価のスピアマンの順位相関係数は,分回し:−0.82,遊脚期骨盤挙上:−0.64,前足部接地: −0.84 であった(p<0.001).
【結論】客観的で評価者に左右されない定量的指標の作成が可能になった.

【キーワード】トレッドミル,歩行分析,異常歩行,リサージュ図形

第3巻 目次