原著

320列面検出器型CT(320-ADCT)による嚥下動態評価の信頼性の検討

稲本陽子, 加賀谷 斉, 才藤栄一, 金森大輔, 柴田斉子, 藤井直子, 片田和広, Jeffrey B. Palmer
Jpn J Compr Rehabil Sci 3: 59-65, 2012

【目的】320面検出器型CT(320-ADCT)による嚥下動態の検者間信頼性および被験者内再現性を検討すること.
【方法】対象は健常成人11名.45度リクライニン グ椅子に着座させ,5%とろみ付きバリウム溶液10mlを口腔内に保持させ,検者の合図で嚥下を開始させた.320-ADCTを用いて1施行3.15 秒間撮影し, 0.1秒間隔に再構成した.嚥下事象のタイミングを2人の検者が計測して,検者間信頼性を級内相関係数(ICC)により分析した.1週間後に再度同施行を実施して,1人の検者による被験者内再現性をICC で評価した.
【結果】検者間のICC平均は0.98と計測の一致度は非常に高く,計測項目や被験者による差はみられなかった.被験者内のICC平均は0.75であり2試行間の嚥下動態はかなりの一致度を認めた.
【結論】320-ADCTによる嚥下評価の検者間信頼性と被験者内再現性はともに高く,信頼性を備えた評価法であることが示された.

【キーワード】320-ADCT,検者間信頼性,被験者内再現性,嚥下評価法

第3巻 目次