原著

積分回路を用いたパルス磁場計測装置の開発―計測値と理論値の比較からみた有用性の検討

出江紳一, 大内田裕, 沖田太志, 鈴木栄三郎, 阿部利彦, 永富良一, 中里信和, 高木敏行
Jpn J Compr Rehabil Sci 3: 42-50, 2012

【目的】積分回路を用いて即時にパルス磁場強度を計測する装置を開発し,計測値とモデル計算を比較した.
【方法】抵抗(R)とコンデンサー(C)を直列につなぎコンデンサー(C)に発生する電圧を出力とするCR積分回路において,C とRの積を4msとした.そして円形コイルに発生させたパルス磁場(0.1〜1.4T,0.1〜0.6ms)を積分回路と数値積分により計測した.さらに市販の8字コイルの磁場分布を本回路により計測し,理論値と比較した.
【結果】積分回路計測値と数値積分値は良好に合致した(R2=0.9993).最大出力刺激時,8字コイル面から10〜30 mm離れた位置における水平および垂直磁場の最大磁束密度は0.2〜0.5Tであった.計測された磁束密度の限局性はモデル計算よりも低かった.
【結論】パルス磁場計測用積分回路に適したCとRの組合せを見出した.本計測装置は経頭蓋磁気刺激効果の定量的解析に有用と思われる.

【キーワード】経頭蓋磁気刺激,磁場構造,8字コイル,積分回路,ガウスメーター,磁束密度

第3巻 目次