原著

回復期脳卒中患者の退院時指標及び予測―日常生活機能評価表の有用性の検討―

岩井信彦, 青柳陽一郎
Jpn J Compr Rehabil Sci 3: 37-41, 2012

【はじめに】日常生活機能評価表がADL自立度や転帰先を予測する指標となるのかを検証することが本研究の目的である.
【方法】対象は日本リハ医学会患者データベース(脳卒中)から抽出した482例である.退院時FIMを従属変数,年齢,発症前mRS,発症後入院病日,病棟入院日数,入棟時運動FIM,入棟時認知FIM を独立変数とし重回帰分析を行った.独立変数に入棟時日常生活機能評価表を加え予測精度を比較した.転帰先を従属変数,年齢,発症前mRS,発症後入院病日,病棟入院日数,介護力,入棟時運動FIM,入棟時認知FIMを独立変数とし,ロジステック回帰分析を行っ た.独立変数に入棟時日常生活機能評価表を加え的中率を比較した.
【結果】日常生活機能評価表を加えると決定係数R2 は約0.04上昇したが,的中率に変化はなかった.
【結論】今回用いたデータベースの解析結果からは, 日常生活機能評価表を退院時ADLや転帰先の予測精度を高める指標とみることは難しいと思われた.

【キーワード】回復期脳卒中患者,日常生活機能評価表,退院時指標,FIM

第3巻 目次