原著

脳幹部脳血管障害による慢性期摂食・嚥下障害に対するリハビリテーション治療成績

尾関保則, 太田喜久夫, 加賀谷 斉, 馬場 尊, 才藤栄一, 柴田斉子, 田中貴志, 岡田澄子, 三串伸哉
Jpn J Compr Rehabil Sci 3: 1-5, 2012

【目的】脳幹病変による慢性期摂食・嚥下障害患者に対するリハビリテーションの帰結を検討すること.
【方法】脳幹病変による摂食・嚥下障害が3か月以上持続し,入院リハビリテーションを施行した患者34例(男性27 例,女性7例,平均年齢63 歳)に対し, 後方視的に入院時と退院時の摂食・嚥下障害臨床的重症度分類(DSS),摂食状態(ESS),日常生活活動の変化を検討した.
【結果】入院時にDSS1であった9例中6例はDSSが不変であったが,それより軽症でDSS2以上であった25例中17例ではDSSが改善した.ESSに関してはDSS1の9例中8例がESS1のまま改善を認めなかったが,DSS2以上であった25例中20例で改善した.
【結論】発症から3か月以上たったDSS1は改善に乏しい.DSS2以上では集中的なリハビリテーションで改善する可能性が大きい.

【キーワード】脳幹病変,脳血管障害,摂食・嚥下障害, リハビリテーション

第3巻 目次