原著

歩行可能な脳性麻痺児の下肢関節可動域と粗大運動能力との関連

川原田里美, 近藤和泉, 園田 茂, 横山恵里, 田澤優子, 薮中良彦
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 82-88,2011

【目的】歩行可能な脳性麻痺児の下肢関節可動域と粗大運動能力との関連を調査した.
【方法】対象は脳性麻痺児の粗大運動能力分類システム(GMFCS)でレベルT〜Vに分類される歩行可能な脳性麻痺児30名(平均年齢9.27 ± 4.31 歳).対象児の下肢関節可動域(@トーマス肢位での股関節伸展,A膝関節伸展,B膝関節伸展位での足関節背屈)を測定し,同時期に粗大運動能力尺度(GMFM)の立位領域,歩行・走行とジャンプの領域を評価した.
【結果】股関節伸展可動域はGMFCS レベルT・UとGMFCSレベルVとの間に有意差が認められ,粗大運動能力と高い相関が認められた.膝関節伸展可動域は,GMFCSレベルTとUの群よりもGMFCSレベルVの群で制限が大きく,粗大運動能力との相関は中等度であった.足関節背屈可動域はGMFCSレベル間の差がみられず,粗大運動能力との相関も弱かった.
【考察】下肢関節可動域は脳性麻痺児の粗大運動能力に関連する一つの因子であることが示唆された.

【キーワード】脳性麻痺児,下肢関節可動域,粗大運動能力

第2巻 目次