原著

脳卒中患者の足関節背屈重度麻痺に対するミラーセラピーの効果

和田陽介, 近藤和泉, 園田 茂, 山田佳代子, 生川暁久, 川上健司, 野々山紗矢果, 宮坂裕之, 寺西利生, 永井将太, 竹島伸生
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 71-76, 2011

【目的】麻痺側足関節背屈が重度に障害された初発脳卒中患者に対して,ミラーセラピーによる背屈運動を行い麻痺改善の効果を検討した.
【方法】初発脳卒中患者9名を対象に鏡を非麻痺側下肢が映るように設置し,背屈運動50回を1セットとし,1日4セット,7日間行わせた.Stroke Impairment Assessment Setの足関節の運動機能(SIAS-F)と足関節を自動的に背屈させたときの床面と足底面のなす角度(以下,SIAS-F 角度)をミラーセラピー開始14日前から終了7日後まで7日おきに計5回計測した.
【結果】SIAS-F は,全例でミラーセラピー開始14 日前から開始時まで得点の変化はなかった.ミラーセラピー介入後は9名中5名が改善し,開始時と終了時および開始時と終了7日後との間に有意差を認めた.SIAS-F角度は,開始時0°,終了時3.0°,終了7日後1.2°で推移したが有意差は認められなかった.
【結論】足関節背屈へのミラーセラピーは介入前後でSIAS-Fの有意な改善を認めたため麻痺回復へ寄与する.

【キーワード】stroke, hemiplegia, ankle dorsifl exion, mirror therapy

第2巻 目次