藤井 航, 近藤和泉, 馬場 尊, 才藤栄一, 柴田斉子, 岡田澄子, 小野木啓子, 水谷英樹
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 48-53, 2011
【目的】嚥下造影(VF)を用いて健常者において,
加齢が咀嚼嚥下に及ぼす影響について検討を行った.
【方法】健常成人53人(男性35人,女性18人,
25-89歳,平均年齢54.5±19.3歳)を対象とし,若年群,中年群,60歳代群,70歳以上群に分類した.
VFを用いて固形物の咀嚼嚥下とあわせて液体の命令嚥下の食塊深達度について解析を行った.
【結果】固形物では嚥下前食塊咽頭進行が加齢と共に変化することが観察された.咀嚼時間,咀嚼回数は加齢と共に増加しており,70 歳以上群において,男性よりも女性の方が多かった.
【結論】咀嚼を伴う固形物の嚥下では,嚥下前食塊咽頭進行位置が加齢と共に変化することが推察された.咀嚼回数と加齢が食塊咽頭進行に影響しており,これらの要素に性差が関係し,女性の方が深くまで達している可能性が示唆された.
【キーワード】加齢,摂食,咀嚼,Stage II transport