原著

頸部回旋とリクライニング座位の組み合わせ姿勢が食塊通過経路と誤嚥に与える影響についての検討

太田喜久夫, 才藤栄一, 加賀谷 斉, 園田 茂, 柴田斉子
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 36-41, 2011

【目的】嚥下障害患者に用いられる姿勢代償手技のうち,誤嚥の危険が高くなる組み合わせ姿勢を明らかにすること.
【方法】実験1;健常者5名(24〜45歳)を対象とし, 頭頸部屈曲30度,右頸部回旋(0,30,60度),リクライニング座位(90,60,45度)の組み合わせについて,嚥下内視鏡検査(VE)と嚥下造影検査(VF:AP 像)を同期させて検査食の通過経路を観察した.実験2;嚥下障害患者10名(74.7±6.7歳)を対象とし, 頭頸部屈曲30度,頸部回旋(0,左右30度)とリクライニング座位(90,60,45度)の組み合わせを用い,誤嚥率をVF側面像で評価した.
【結果】実験1;右頸部回旋30度・リクライニング 座位45度の組み合わせで5人中2名において食塊は嚥下反射開始前に回旋側梨状窩に到達した.実験2:頸部回旋30度・リクライニング座位45度の組み合わせで最も誤嚥率が高かった(40%).
【結論】姿勢の組み合わせでかえって誤嚥の危険を高 める場合があることが示唆された.

【キーワード】嚥下障害,誤嚥,姿勢,リハビリテーション,脳卒中

第2巻 目次