原著

股関節屈曲トルク発生のための電気刺激方法の検討―トルク値と痛みの強さの測定―

伊藤智崇, 椿原彰夫, 妹尾祐太, コ弘宙士, 渡邉 進
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 31-35, 2011

【目的】中枢神経障害による運動機能の回復の基礎的研究として,経皮的な電気刺激によって股関節屈曲トルクを有効に発生させる手法を探求すること.
【方法】健常男性11名を対象に,電気刺激時の股関節屈曲等尺性トルク値の測定と痛みの強さの評価を行い,最適刺激部位を検討した.刺激条件は,干渉周波数30Hz,刺激時間2秒,休止時間15秒とした.刺激方法は,(1)縫工筋と大腿筋膜張筋,(2)縫工筋と大腿直筋,(3)大腿直筋と大腿筋膜張筋への刺激とした.3種類の方法で最大耐用強度を決定した後,その中の最小値を刺激強度に設定した.活動比は,各筋のトルク値を(1)〜(3)のトルク値の総和で除して算出した.
【結果】大腿直筋の活動比は縫工筋よりも有意に大きかったが,(1)〜(3)のトルク値および痛みの強さに有意差は認められなかった.
【結語】大腿直筋を含めた電気刺激は,大腿直筋を含まない場合よりも低い刺激強度で股関節屈曲トルクを発生できる可能性が示された.

【キーワード】経皮的電気刺激,機能的電気刺激,股関節屈曲,トルク,痛み

第2巻 目次