原著

脳卒中上肢機能的スキル評価尺度(Functional Skills Measure After Paralysis) Nominal Group Discussion による検討と内容的妥当性の整備

宮坂裕之, 近藤和泉, 加藤啓之, 高橋千佳子, 植松 瞳, 安井千恵子, 谷 明奈, 宮田幹子, 和田典子, 寺西利生, 和田陽介, 園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 24-30, 2011

【目的】脳卒中後の麻痺側上肢の機能的スキルの評価尺度であるFunctional Skills Measure After Paralysis (FSMAP)の内容的妥当性を検討し,臨床での使用 に耐えられるようにその内容を整備すること.
【方法】作業療法士8名が参加し,質問紙法による調査を行った.内容的妥当性の検討方法としてNominal Group Discussion (NGT) を用いた.NGT は事前に同意基準の定義づけを行い,8割未満の同意しか得られず, 内容的妥当性が低いと判定された項目に対しては改変を行なった.改変されたFSMAP に質問紙法による調査を繰り返した.
【結果】1回目の調査では,小項目,解説とも15 項目中8項目で「同意できない」という結果であった. この結果を元にして内容の修正を行った.2回目は,小項目の15 項目中1項目で「同意できない」という結果であり,この項目の改変により内容的妥当性が十 分に高まったものと判断し,検討作業を終了した.
【考察】内容的妥当性の検討とその結果を元にした改変により,FSMAP は臨床応用に耐えられるレベルまで整備されたと考えられる.

【キーワード】脳卒中,麻痺側上肢,評価尺度,Nominal group technique

第2巻 目次