原著

320 列面検出器型CT による距離の計測誤差と被曝線量の検討〜嚥下造影検査との比較〜

金森大輔, 加賀谷 斉, 藤井直子, 稲本陽子, 中山渕利, 鈴木昇一, 水谷英樹, 岡田澄子, 片田和広, 才藤栄一
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 18-23, 2011

【目的】320列面検出器型CT(320-ADCT)における距離の計測誤差ならびに被曝線量を嚥下造影検査(VF)と比較することである.
【方法】成人頭蓋骨標本につけられた放射線不透過性のマーカを使用し2点間の距離を計測した.VFではオトガイマーカにより補正した.320-ADCTでは距離計測ツールを用いた.距離計測後VFと320-ADCTの誤差を比較した.被曝線量はランドファントムを使用しTLD素子より算出した.
【結果】VFにおける相対誤差は最も大きいもので12.9%であった.320-ADCTでは最も誤差が大きいものでも相対誤差0.34%以内であった.VFは入射側の皮膚吸収線量が高く,反対側に比べ4.8〜12.1倍の線量で最大25.30mGyであり,実効線量は1.05mSvであった.320-ADCTにおいて最大皮膚吸収線量は47.07mGy,実効線量は1.65mSvであった.
【結論】320-ADCTはVFと比較すると,計測誤差は少なく様々な方向から観察可能であるが,被曝線量は多くなるため摂食・嚥下機能の評価は両者を上手に組み合わせて行うことが重要である.

【キーワード】嚥下造影検査,320-ADCT,距離計測,被曝線量

第2巻 目次