米田千賀子, 才藤栄一, 鈴木めぐみ, 山田将之
Jpn J Compr Rehabil Sci 2: 1-4, 2011
【目的】半側空間無視(USN)に対する治療法のひと
つにプリズム順応治療がある.今回,プリズムの右と
左の偏位方向性の違いによる影響と,プリズム順応の
ための手の運動の有無による影響を調べた.
【方法】脳卒中により左USN を呈した患者19 例を
順応運動の有無で2群に分けた.全例に右および左へ
10°偏倚するプリズムを使い,順応には右示指を机上
の3つの標的へ50 回ずつ到達させる運動を行った.
運動中,手の軌跡が見えるようにした.運動しない群
ではプリズムを20 分間装着した.治療前後のUSN
の評価には50cm テープ二等分テストを用いた.
【結果】左偏倚プリズムでは運動あり群でUSN が増
悪した(p=0.01).右偏倚プリズムでは運動あり群で
二等分点が左へ移動する傾向がみられた(p=0.29).
【結果】運動軌跡が見える条件でも,運動を行うこと
で右偏倚プリズムによる順応治療はUSN に有効とな
る可能性が示された.
【キーワード】左半側空間無視,プリズム順応治療,プ リズム偏倚性,到達運動