日本学校メンタルヘルス学会第22回大会「課外活動と学校メンタルヘルス」

実行委員会企画

公式ワークショップ

早川恵子(都留文科大学)
「課外活動をめぐるおとなたち」
(学校心理士資格更新A 1ポイント)

課外活動は子どもにとって得意とすることや興味関心があることが、学校教育活動の中でできる機会ともいえます。その一方、近年、部活動における教師の負担や、体罰など様々な問題がクローズアップされています。課外活動が子どもにとって魅力的であり、社会性を育み、成長を感じられる機会であるためにどのようにしたらいいでしょうか。「課外活動をめぐるおとなたち」をテーマに、ラウンドテーブル形式で意見交換をする機会としたいと考えます。

(はやかわ・けいこ)
学校心理士、ガイダンスカウンセラー、臨床発達心理士。埼玉県新座市立小学校・中学校教師、国立音大付属幼稚園スクールカウンセラー、跡見学園中学校高等学校スクールカウンセラー、調布市立小学校スクールカウンセラー、山梨県立都留興譲館高校スクールカウンセラーを経て、現在都留文科大学講師(非常勤)。その他、カウンセリング研修センター学舎ブレイブ室長・専任カウンセラー、NPO元気プログラム作成委員会理事、特別支援教室に伴う巡回相談心理士(東京都)を兼任。

能智正博先生(東京大学)

能智正博(東京大学)
「メンタルヘルス研究を質的にはじめてみたい方へ
実はけっこう難しいインタビューの技法」

(学校心理士資格更新A 1ポイント)

近年、本学会においても質的研究の論文投稿が徐々に増えていますが、どう始めたらいいのか、どのように研究としてまとめたらいいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。そこで今回の大会では、本学会における質的研究の更なる発展を目ざして、日本質的心理学会常任理事長でもある東京大学の能智正博先生をお迎えし、質的研究のスキルを高めるためのワークショップを開催いたします。特に初心者の方が研究を始めるきっかけになるようなワークショップをお願いしています。どうぞ、お気軽にご参加ください。

 

質的研究のデータ収集法としてよく用いられているのが、半構造化インタビューである。しかしこれは、受動的な聴取の技法にとどまるものではないし、カウンセリングの積極的聴取をまねすれば事足りるわけでもない。インタビュアーの側が過剰に枠付けをせずインタビュイーが既に知っていることを自由に話してもらうだけでは、質的研究のインタビューとしては不十分である。
質的なインタビューはインタビュイーを巻き込んだ、情報探索の過程である。インタビューは、分析や解釈から切り離された独立のデータ収集段階ではなく、むしろデータ分析の最初のステップと考えた方がよいだろう。インタビュイーは、インタビュアーが関心をもっている自己の体験の側面について、すべて開示するような構えがはじめから備わっているわけではないし、そもそもその側面の全体に関して意識的であるとは限らない。
「メンタルヘルス」に関わるテーマは、しばしば内面深くに関わる体験を聞き取ることが求められるが、もしそうだとしたら、比較的短い時間でより豊かなデータを収集するために、カウンセラー養成に類比できるくらいの系統だったトレーニングが本来は必要だろう。
質的なインタビューを行う研究者がもつべき技法には、たとえば次のようなものが含まれる。
・テーマに即した、しかもインタビュイーの生活世界に響き合う問いを用意すること
・テーマに関して体験を探索する構えを、インタビュイーに作り上げること
・インタビュイーの発言からテーマに関して掘り下げる価値のある部分を見つけること
・インタビュイーが体験を探索するのを促進する問いをその場で投げかけること
・わかりにくい部分を見つけてなるべくその場で確認すること
こうした技法に習熟することにより、得られる質的データは厚みを増すことになるだろうし、また、その後のデータ分析の方向についても洞察が得られるだろう。
このワークショップでは、質的なインタビューについて概論的な話をした後、具体的なサンプル・データを用いながら、質的インタビューのスキルを高めるためのトレーニングを試みる。インタビューに特化してはいるが、このトレーニングには質的研究のデータ収集・分析に共通するエッセンスが含まれている。本ワークショップを通じて、初めて質的研究に取り組もうとする人にはその第一歩を、すでに質的研究を始めている方にはさらに研究を発展させるきっかけを提供できればと思う。

(のうち・まさひろ)
1962年生まれ。1997年、米国シラキュース大学大学院教育学研究科博士課程修了(Ph.D.)。帝京大学、東京女子大学を経て、東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース教授。 障害をもつ人および支える側のライフストーリーと語りを主要な研究テーマとして、大学では臨床心理学研究法、臨床心理面接特論などの授業を担当している。

【コーディネーター】石島照代(いしじま・てるよ)
第22回大会事務局長。東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センター効果検証部門 特任研究員。専門は教師教育学。特に子どもの貧困など、子どもが抱える社会経済的背景と教師の成長やメンタルヘルスの関係、教員研修開発について質的・量的に研究している。