睡眠障害を有するてんかん患児へのメラトニンの投与

 睡眠障害を有するてんかん患児で、他剤で臨床症状の改善が見られない症例に対する、痙攣、睡眠障害の改善を試みるためのメラトニンの投与について解説します。
 重度知的障害を伴った難治てんかん患児の中には、睡眠障害(途中覚醒、昼夜逆転)を有するものがあり、てんかん悪化時には特に睡眠障害をきたしやすいことも経験されます。メラトニンは体内にて産生される睡眠物質で、既に米国では薬局で販売されていますが、日本では薬として認可されておりません。また、メラトニンの痙攣に対する効果も最近解明されつつあり、痙攣抑制性に働くことが分かってきています。このため、上記のような患児の日常生活の改善を目的としてメラトニンの投与が計画されました。(東北大学病院、倫理委員会承認済み)
 1日1回 1 - 5 mg を午後8時(就寝前)に経口投与します。投与期間は1年間です。投与前後にて、睡眠 - 覚醒パターンの記録、睡眠時脳波、発作回数の記録、ホルモン(メラトニン、コルチゾール、成長ホルモンなど)の日内変動について検査をし、効果判定をします。臨床的に無効と判定された場合は速やかに中止します。
 メラトニンは松果体より分泌されるホルモンの一種であり、その機能が長い間不明でしたが、近年時間生物学的研究から生体リズムの調整に関与していることが明らかにされています。このほかにも内分泌機能の調節、体温や睡眠などの自律機能への関与、免疫系への関与、がん細胞の成長抑制効果などが報告され、メラトニンに対する関心が高まってきているようです。
 多くの検討例によれば重篤な副作用は特に認められないようですが、眠気、頭痛、悪心等がわずかに報告されています。