鎮咳剤デキストロメトルファン(メジコン)の鎮痛剤としての使用

 疼痛管理に使用する目的で、鎮咳剤のデキストロメトルファン(メジコン)を常用量以上の1日量 300 mg 程度で処方する場合があります。その理由について解説します。
 末梢組織で発生した疼痛は一次求心線維を伝わり脊髄へ情報が運ばれます。疼痛が連続的に脊髄後角細胞へ入力されると、脊髄後角細胞が過敏な状態となり、弱い痛み刺激を強い疼痛と感じるようになります(wind-up 現象)。このwind-up 現象の発生には、興奮性アミノ酸のレセプターの一つである、N-methyl-D-aspartate(NMDA)レセプターが重要な役割を果たしています。また neuropathic pain と呼ばれる難治性の疼痛疾患の発症にもこのNMDA レセプターが関与していると考えられています。そこで NMDA レセプター拮抗薬を疼痛管理に使用する試みがなされてきています。
 現在臨床利用可能な NMDA レセプター拮抗薬は、塩酸ケタミンとメジコンであるため、通常の鎮痛薬に抵抗性を示す疼痛に対してメジコンを処方する場合があるわけです。しかし、これらの薬物のNMDA レセプターに対する拮抗作用は弱く、臨床では必ずしも良好な結果が得られていないようです。東北大病院麻酔科でも一時よく処方が出ていましたが、現在は全く処方されていません。