ワーファリンと食品との相互作用

 血栓・塞栓症の治療や予防に用いられる抗凝血薬ワーファリンと食品との相互作用はよく知られています。では実際にどのような食品をどの程度注意すればよいでしょうか。
 ワーファリンは肝において凝固因子のひとつであるプロトロンビンの生成に必要なビタミンKの働きを阻害することによって抗凝血作用を現します(図左)。したがってビタミンKを含む食品を摂取することにより、ワルファリンの作用を減弱させる可能性がでてきます。
 それではビタミンKが多く含まれている食品にはどのようなものがあるでしょうか。添付文書にも記載されよく知られているものに「納豆」があります。納豆には100g当たり約345μgのビタミンKが含まれています。また、納豆菌が腸内でビタミンKを産生します(一般に腸内細菌はビタミンKを産生しますが、納豆菌は細菌の中でも特にビタミンK 産生能力の高い Bacillus subtilis に属しています)。したがって、納豆を1回摂取しただけでトロンボテスト(ワルファリンの作用の指標となる)の値を変動させる可能性があります(図右)。ワルファリンを服用中の患者さんは納豆を極力摂取しないことが望まれます。

           


 一方、納豆以外にビタミンKを多く含有する食品にはクロレラ、一部の野菜などがあります。野菜の中で含有量の多いものにパセリ、シソ、アシタバ、クレソンなどがありますが、通常の食生活で大量に摂取することはまず考えられないので、これらについてはほとんど気にする必要はないと思われます。比較的よく食べると思われる野菜でビタミンK含有量の多いものにはホウレンソウ、ブロッコリー、キャベツなどがあります。ホウレンソウとブロッコリーをそれぞれ250g摂取したときのトロンボテスト値への影響を見たデータによると、1回だけ摂取したときは治療域を逸脱するほどの影響は見られませんでしたが、1週間連続して摂取した場合、トロンボテスト値が有意に上昇したということです。しかし食事全体の栄養バランスなどを併せて考えると、野菜については特に制限する必要性はないとの見方が一般的です。むしろこれらの摂取量を極端に減らすことによりかえってビタミンKの欠乏を引き起こし、逆にワーファリンの作用が強くあらわれることも考えられますので、ワーファリンを服用している患者さんは野菜の一時的な大量摂取を避けバランスよくコンスタントにとることが大切と思われます。