小児薬用量について

 小児の絶対投与量は成人のそれに比べて少ないわけですが、小児の単位体重当たりの投与量は、成人のそれよりも多くなることをご存じでしょうか。
 セフェム系抗生物質ケフラールを例にとります。健常成人250mg/回経口投与時(体重55kgとすると4.5mg/kg)と小児10mg/kg経口投与時において、平均最高血中濃度はそれぞれ7.4μg/ml、8.6μg/mlになり、ほぼ同じ血中濃度が得られます(メーカー資料)。
 小児の体内総水分量は成人55%に対し70-80%で、小児では細胞外液の割合が高いため細胞外液への分布が大きくなります。単位体重当たりの肝臓容積は小児の方が成人より約2倍大きく、生後2-3ヶ月頃から肝機能は成人レベルに達し、生後6ヶ月頃には腎機能も成人レベルに達します。また血漿蛋白量は成人に比べ少ないため、非結合型薬剤は代謝排泄されやすくなります。新生児は生まれて間もないため薬物クリアランスは非常に遅いですが、生後2-3ヶ月頃から徐々に増加し、2-3才で成人のクリアランスを越えて、思春期には遅くなり、そして成人のクリアランスに達します(図参照)。


(臨床医薬情報 510-513,1985 「小児薬用量のきめ方」から引用)


 このため、成人と同じ血中濃度を得ようとすると、単位体重当たりの投与量は多めにする必要があります。添付文書等に記載されている小児薬用量は乳児期後半(生後6ヶ月頃)からの小児に相当します。
 このように、小児における薬物動態は年齢により複雑であるため、従来の様々な換算式でも不十分であるというのが現状です。体重に基づく投与量は実用的ですが理想的でなく、体表面積による薬用量の計算が広く用いられているようです。生後2ヶ月以降の乳児には体表面積法がおおむね適用できるそうですが、それぞれの薬剤についての年齢における臨床成績の裏付けが今後必要でしょう。
 その他の例としては、ネフローゼ症候群の頻回再発型におけるサンディミュンの投与用量が成人量1.5mg/kgに対し、小児量2.5mg/kgと設定されています。
 ちなみに、乳児期は出生から1才、幼児期は1才から6才、学童期は6才から12才とされています。