<原  著>
生体情報モニタ(セントラルモニタ)のアラーム教育
-アラームへの迅速な反応を高めるアラーム教育-


野川悟史1)4) 小池あつ子2) 大石 竜3)4) 的場匡亮4) 上條由美4)

1) 昭和大学藤が丘病院臨床工学室
2) 昭和大学藤が丘病院看護部
3) 昭和大学統括臨床工学室
4) 昭和大学大学院保健医療学研究科

【要旨】
 セントラルモニタのアラーム履歴を利用したアラーム教育を実施し、アラームの無駄鳴りの減少およびアラームに対する迅速な反応などの効果を検討した。方法として、アラーム履歴をアラーム教育の実施前後で3回調査した。アラーム履歴は、テクニカルアラーム件数(アラームの無駄鳴り)、バイタルアラーム件数、その他のアラーム件数に分類し、1患者1日当たりの件数を算出した。また、アラームの重要度を緊急、警戒、注意の3段階に分類し、アラームの発生から2分未満でアラームに反応した件数を、アラーム反応割合と定義した。アラーム教育は、アンケート、講習会、モニタラウンド調査にて講習会での指導項目のチェックを実施した。その結果、1患者1日当たりのテクニカルアラーム件数は、講習会前156.5件からモニタラウンド調査後139.4件に減少し、アラーム反応割合に関しては、講習会前11,198件(21.7%)、講習会後12,102件(30.2%)、モニタラウンド調査後24,107件(43.4%)と、アラーム教育ごとに上昇した。アラーム教育は、アラームに対する看護師の認識の変化や行動変容を引き起こし、テクニカルアラーム件数の減少やアラーム反応割合の上昇につながった。また、単独のアラーム教育ではなく、複数のアラーム教育を積み重ねることにより、アラームの無駄鳴りは減少傾向を示し、アラームへの迅速な反応につながった。