診断のポイント

 

 心臓超音波検査(Fig. 1)にて,壁の輝度上昇を伴 った左室壁の肥厚と壁運動の低下(短縮率 16%)を認めた.右室壁肥厚,左心房の拡大および房室弁の肥厚も認めた.左室流入血流速波形(Fig. 2)では,拡張早期(E)波0.58m/sec,心房収縮期(A)波0.17m/secとE/A比が2を超え,またE波の減速時間は104msecと短縮し,拘束型パタ ーンを示した.
 患者死亡後,家族の同意が得られず剖検は行えなか ったが,同意の下にVin-Silverman針を用い,経胸壁的に心尖部側から心筋組織を採取した.病理組織検査の結果,心筋細胞周囲にび漫性にCongo red陽性の無構造物の沈着を認め(Fig. 3),偏光にてapple-greenを示し,アミロイドーシスと判明した.また,心筋とともに偶然採取された肺の組織にもアミロイドの沈着を認めた.

左室肥大を示す疾患として,肥大型心筋症,高血圧,大動脈弁狭窄症,アミロイドーシス,Fabry病などが挙げられる.また,拘束性心筋障害をきたす疾患として,拘束型心筋症,アミロイドーシス,Fabry病,ヘモクロマトーシスなどがある.本症例では,左室肥大,拘束性心筋障害,刺激伝導系障害を認めており,臨床的にもアミロイドーシスと矛盾しない所見であった.
 心アミロイドーシスは予後不良で,心不全症状出現後の平均余命は7.7ヵ月とされる.現在のところ,有効な治療法はなく,対症療法を行うのみとなる.

謝 辞
 本症例に関して貴重な情報をご提供いただいた三木市民病院循環器科の吉野生季三,寺島充康,粟野孝次郎各先生に深謝いたします.

 Diagnosis : Cardiac amyloidosis

Fig.2

Pulsed-wave Doppler recording of mitral inflow velocity showing a restrictive pattern
E/A ratio is 3.41 and deceleration time of E velocity is 104 msec.

Fig.3

Photomicrographs of the heart specimen
Amyloid colored red with Congo red stain has accumulated around myocytes.
A : Hematoxylin-eosin stain. B : Congo red stain.