JC Original Articles Abstract 29-6-2J
題名内科治療による高齢者虚血性心疾患の予後 : Cox 比例ハザードモデルによる解析
著者古野 貴志 / 山崎 文靖 / 矢部 敏和 / 松村 敬久 / 北岡 裕章 / 土居 義典 /
29 317-323 発行年月1997 年 6 月
要  約
 高齢者虚血性心疾患において,冠動脈病変枝数,心機能,残存虚血などの既知の予後規定因子と比較して,年齢という因子がどの程度重要であるかを明らかにすることを目的とした.
 冠動脈造影,dipyridamole 心筋シンチグラフィーを同時期に施行した 65 歳以上の高齢者 147 例のうち,初期内科治療を選択した 115 例を対象とし,平均 29±22 カ月間の心事故を調査し, Cox 比例ハザードモデルによる解析を行った.
 経過観察可能であった 114 例のうち心事故は 9 例 (7.9%; 心臓死 5 例,晩期冠動脈バイパス術・冠動脈形成術の非致死的合併症 4 例) にみられた.年齢を 65ミ69 歳 (53 例),70ミ74 歳 (42 例),75 歳以上 (19 例) の 3 群に分類すると,75 歳以上群で心臓死が高頻度であった.単変量解析では,1) 年齢 70 歳以上 (ハザード比 15.15, p=0.004),2) dipyridamole シンチグラフィーの瀰漫性洗い出し率低下 (ハザード比 8.77, p=0.002),3) 三枝あるいは左主幹部病変 (ハザード比 6.36, p=0.05) が予後規定因子として重要であった.多変量解析では,dipyridamole シンチグラフィーの洗い出し率低下 (ハザード比 6.33, p=0.05) と三枝あるいは左主幹部病変 (ハザード比 11.94, p=0.05) が特に高いハザード比を示した.しかし年齢 70 歳以上を解析指標に加えると, 70 歳以上は dipyridamole シンチグラフィーの瀰漫性洗い出し率低下 (ハザード比 7.36) や三枝あるいは左主幹部病変 (ハザード比 5.30) よりも更に高いハザード比 (21.21, p=0.03) を示した.
 高齢者虚血性心疾患においては,年齢 70 歳以上という因子は予後規定因子として冠動脈病変枝数 (三枝および左主幹部病変) と同等に重要である.