会長挨拶
会長挨拶
「第31回日本手術医学会総会の開催にあたって」

 

西村先生_写真

会長
信州大学医学部附属病院手術部
西村チエ子
 
 第31 回日本手術医学会総会を,2009 年10 月16・17 日に多くの方々が参加しやすいよう,開催地を信州ではなくあえて東京とさせていただきましたこと,ご理解とご協力に心より感謝申し上げます。
 手術をとりまく環境は,医療者にとって年々厳しさを増してきております。患者に対する手術医療
の安全確保は最も重要であることは言うまでもありませんが,効率化による徹底したコストの削減
も,患者に良質な医療を提供しながら実現していかなければならない重要な課題です。また,手術現場には数多くの古い因習が捨て切れずに残されており,それに立ち向かうためのエビデンスを確立していくことも必要です。同時に,ますます高度化していく先端医療・技術の進歩を見据えながら,いかに日常の現場に取り入れて患者に還元して行くか,周術期の新たな展開にも目を向けることが求められています。
 一方で周術期医療は,患者にとって術前の病気や手術への不安の日々,未知の世界でほとんど記憶に残らない手術室での出来事,術後のこの上もない激しい痛みに対する疼痛管理,日ごとに回復が実感できるための精神的な援助など,どれ一つとっても医療者個人で成し得るものではありません。術前・術中・術後をとうして,医師,看護師,臨床工学技士,放射線技師,臨床検査技師やその他多くの職種の医療者が協力してこそ成し得るチーム医療であり,それぞれの職種が専門性を発揮してこそ,患者にとって最良の医療が提供できることに他なりません。このような現状を踏まえて,今回のテーマは「チームで支える周術期医療の新たな展開」とさせていただきました。
 プログラムは,特別講演を物理学の世界で著名な米澤富美子先生に,招聘講演を手指消毒に関して米国のPaulson 先生,病院設計・経営に関してカナダのJean-Marc Legentil 先生,手術看護に関して韓国のソー・ヨン・ギョン先生,にお願いしました。またトピックスセミナーとして,信州大学脳神経外科の本郷一博先生,癌研究所消化器外科の福永 哲先生,新潟大学整形外科の伊藤拓偉先生に先端医療の実際をお話していただきます。教育講演では,気管挿管困難への対応として,社会保険紀南総合病院麻酔科の中川雅史先生,独協医科大学救急医学の松島久雄先生にお願いしました。シンポジウムは「患者のためのチームで支える周術期医療」「手術における医療の質と医療経済」の2 つを,パネルデイスカッションでは「立会い実施後の現状,基準に沿った機器保守管理の現状」「手術看護の独立性と専門性」「手術室における感染防止対策の実証と今後の方向性」の3 つについて討論していただきます。一般演題は会員の皆様から140 演題の応募をいただき,そのうちの5 題はシンポジウムやパネルディスカッションに採用させていただきました。また当学会では初の試みとして,ポスターセッションを設けましたので,より身近に討論していただけるのではないかと思っています。
 参加してよかったと実感できる,実りある学会となりますようご協力をお願いするとともに,ご支
援をいただいた多くの方々に感謝を申し上げます。