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理事長挨拶

 

 昨年は、熊本と鳥取にて大きな地震があり、また年末には新潟で大火が起こりました。未だ不自由な生活を強いられている方々におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

 昨年は本会の30周年を迎えることができました。ひとえに、会員はじめ関連団体のご指導と、何より妊産婦やその赤ちゃん、家族を含めた、皆様のおかげと感謝しております。また、将来ビジョンとして①助産学発展の推進、②女性と家族を中心とした良質な助産実践の推進、③女性と助産師、医師とのパートナーシップの確立、④ICMへの参画と国際研究交流の促進、⑤社会貢献の活性化、⑥日本助産学会の組織強化を6つの柱として打ち出しました。そして、この中長期的な目標をもとに、活動を始めることができました。

 ご存知の通り、周産期を取りまく外部環境としては、女性や子どもの貧困、児童虐待相談件数の増加、産科医、助産師不足と偏在化、ハイリスク分娩の増加と医療機関の集約化、分娩施設の減少と混合病棟化、災害時の周産期体制の未整備など、山積です。無痛分娩の増加も気になります。これらに対する方策として、助産師の出向制度や産後ケア事業の推進、妊産婦のメンタルヘルスの強化、NCPRをはじめJ-CIMELSによる産科出血対応の研修など、様々な取り組みがなされています。日本助産評価機構からは昨年末、2回目のアドバンス助産師の合格者が5,400名と報告がありました。これで、実践力を十分に備えたアドバンス助産師は就業助産師の3人に1人となり、今後の活躍が期待されます。

 アドバンス助産師はじめ1人ひとりの助産師の実践には、エビデンスが欠かせません。今年は、これまでの分娩期ケアのガイドラインを見直すとともに妊娠期ケアのガイドラインも出しました。1月には会員の皆様のお手もとに届くことになります。是非、助産師が良質なケア提供者であるためにご活用いただきたいと思っております。また、論文投稿システムも変え投稿しやすい環境を作り、若手研究者の支援も考えていきます。

 ケアの言語を統一することの重要性から助産学の用語集の発刊も行っていく予定です。国際的には、アジアの助産研究交流を促進し、その情報をお届けできると思っております。

 プラハで採択されたICMの基本文書の翻訳版が完成し、ホームページから見ることができます。私たちも世界の助産師の1人です。助産師の倫理綱領など重要な文書を掲載しておりますので、ご活用ください。本年6月にはトロント(カナダ)でICM大会が開催されます。日本からも多くの助産師が演題を応募し、採択されたと聞いておりますので、研究の交流が期待されます。今回は、日本助産師会、日本看護協会、全国助産師教育協議会、日本助産評価機構の5団体でブースも出しますので是非お寄りください。

 今年度は酉年。人には、対象者とのケアを大事にするミクロの虫の目と時代の流れを見る魚の目、そして物事全体を俯瞰的に見る鳥の目の3つが必要と言われています。速くて大きな流れの中で、助産師はそして日本助産学会はどうあるべきかを鳥の目で見ながら、会員の1人ひとりの力を結集し、一歩先を見据えた活動になるよう努めて参りたいと思っております。

 この新しい年が会員の皆様にとって佳き年になりますように祈念しています。

日本助産学会 理事長 高田 昌代