HOME  English

 トピックス
日本臨床倫理学会理事会およびクイックレスポンス部会の尊厳死法案へのコメント
2014.11.10
(4)「終末期の定義」の曖昧さ・不確実性
「終末期の定義(第5条)」に関しては、上述のように「傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置」「回復の可能性がなく」「死期が間近」等の文言は、医学的な不確実性を伴うと同時に、法的にも、相当の解釈の幅がある言葉・概念である。また、倫理的にも「どのような状態を終末期と考えるか」については、それぞれの患者の望む終末期のQOLや、患者の目指す治療のゴールによっても異なってくる。
したがって、「終末期の定義(同条)」が曖昧である以上、「終末期に係る判定(第6条)」も曖昧になり、常に困難を極める。すなわち、前述したように「ボーダーラインのケースが多い」ということである。現実には、「終末期」は疾患の種類・病状・患者の価値観などにより、ケースごとに異なり、カンファレンスや倫理コンサルテーションなどにより個別の判断が必要ということになる。
なお、第5条の文言中には以下の矛盾がある。
第5条第3項には、「延命措置の不開始とは、終末期にある患者が現に行われている延命措置以外の新たな延命措置を要する状態にある場合において・・・」と、
第5条1項には、終末期が、「患者が傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいう」とするが、これは終末期においては全ての治療が無益であることを意味しているので、第5条第3項にいうような「終末期の患者が新たな延命措置を要する状態」にはなり得ないということになる。
 
(5)国会審議のプロセスの問題 
 
 

 序文
(1)「法制化」そのものが内包する根源的ジレンマ
(2)思考プロセスのマニュアル化・ショートカット化
(3)強要の無い自己決定の保障が必要であること
(4)「終末期の定義」の曖昧さ・不確実性
(5)国会審議のプロセスの問題
(6)終末期の医療に関する啓発(第11条)についての問題点
(7)「本当に国民の真意かどうか」を見極める
(8)いわゆる尊厳死法案(仮称;「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」)を法制化する基盤が未だない
(9)DNAR指示(蘇生不要指示)との関係
(10)その他