■ エイズ蔓延の実態

1999年11月15日


 今月23日、世界保健機関(WHO)と国連エイズ計画(UNAIDS)は、世界のエイズ流行実態について調査結果を発表した。報告書によると、世界のエイズ感染者は、累計で5000万人を突破し、このうちすでに1600万人が死亡したとしている。また、今年だけで世界でエイズに感染した人は560万人で、死者は過去最高の260万人だという。

 地域別では、とりわけ旧ソ連諸国で感染者数が倍増しており、その急増の原因として、麻薬使用者が回しうちする注射針が指摘されている。また、アフリカでのエイズ蔓延には歯止めがかからず、15〜49歳の女性感染者が男性を初めて上回っている。さらにアフリカ南部では、エイズのために平均寿命が5〜10年後に14歳低くなる可能性があるという。一方、タイやフィリピンなど東南アジアの一部では、エイズ対策が効果をあげはじめており、エイズ予防教育の効果で増加に歯止めがかかったと指摘されている。

 ところで、日本の厚生省は、9月、国内のエイズ動向について報告している。報告によると、感染者の累計は4671人、患者は2114人ということで、これはいまだ増加傾向にある。

 こんな報告もあった。東京都の性教育研究会の7月の調査によると、高3男子の37.8%、女子の39.0%に性交経験があるが、避妊は男子26.8%、女子22.6%にとどまっていると指摘し、若い世代を対象にした、感染防止に向けての教育の必要性を訴えていた。日本では、感染原因は異性間の性的接触が最も多く、かつ若年化が急速に進みつつある。エイズは不道徳で遅れた国の病気、という偏見を取り除くことが、エイズ予防の第一歩だろう。

 なお日本は、先進国では唯一、HIV感染者が増えている国である。

【高山義浩・山口大学医学部学生】


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