■ 拡大する正義の戦争

1999年10月15日


 ロシア軍によるチェチェン侵攻が続行中である。きっかけとなったのは、8月から9月にかけての2回にわたる武装勢力のダゲスタン侵入および、292人の死者を出したモスクワなどでの4件の爆弾テロ事件だ。ロシア軍のチェチェン作戦の目的は、「テロリスト殲滅」で、一般住民には被害を与えない方針だというが、実際には、ロシア軍ミサイルが中央市場を誤爆するなど日々多数の人々が死傷し、19万近くの避難民が流出している。

 また、ロシアはチェチェンへの電力およびガス供給を完全に停止させており、一般市民の困窮は必至であろう。

 こうしたなか、EU議長国のフィンランドが、ロシアに紛争の拡大阻止と対話の開始を促す声明を発表した。しかし、ロシアのイワノフ外相は、空爆で民間人に犠牲が出たことに遺憾を表明しつつも、NATOのユーゴ空爆との類似点を強調しながら、今回の軍事行動の正当性を主張し、仲介を拒否した。

 このしたたかな対応に、EUは口出しの根拠を失ってしまっているようだ。ロシア国内での反欧米勢力を勢いづかせないためにも、エリツィン政権との対決姿勢をとることが難しいこともある。

 ひとつの戦争を正義と認めた結果、ドミノ倒しのように正義の戦争が、世界に広まろうとしているのかもしれない。

【高山義浩・山口大学医学部学生】


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