■ 看護と国際保健(4)  看護を学んでいる方々へ

1998年12月15日


 学生として国際保健に関わるとすれば、いろいろな人がいて当然でしょう。「こんなことをしてみたい!」と高校時代からの夢を追う人もいれば、「何か面白いことはないかしら?」と視野を広げようとする人もいるかもしれません。そして、本の虫になって哲学的な思索に浸る人もいれば、「体を動かさにゃ気がすまん」とマザーテレサの遺志を継ごうとカルカッタに駆けつける人もいるわけです。とにかく、学生時代の過ごし方には様々あり、迷惑さえかけなければ楽しんでいいのではないでしょうか。

 ただし、国際保健をより深く学びたいと思っている人、あるいは将来、国際保健活動に従事してみたいと思っている人には、学生時代に途上国を訪ねてみることを強くお勧めします。さまざまな話題が国際保健の世界では飛び交っています。でも、実際に見てみなければ、本当のことは分からないでしょうし、どうすればいいのか自分で考えることはできないでしょう。だから、自由な学生時代に、まず現場をのぞいてみてはいかがでしょうか。

 たとえば、多くのNGOがスタディーツアーを企画してくれています。スタディーツアーとは、学生や社会人が一緒になってNGOの活動地を見学しにゆくものです。現地では、農村にホームステイしたり、派遣されている看護婦さんの活動について、説明を受けながら見学することができます。東南アジア地域ならば、約1週間で15〜20万円が目安となります。

 少し宣伝ですが、私が主催している国際保健研究会は、学生を主体として活動しています。私たちは、国際保健の入門サークルとして、とりあえず体験しに行こうと海外旅行を繰り返しています。35大学110名の会員には、会報『国際保健通信』を発送しているほか、研修旅行や報告会などの企画について随時案内しています。今年の夏、会の企画として2つの研修旅行がありました。ひとつは、タイのロッブリーという街にあるエイズ患者のためのホスピスにおけるボランティア活動です。ここには3人の看護学生が訪問してきました。もうひとつは、ネパールにあるブータン難民キャンプの見学です。ここで国際保健研究会は、3年にわたって調査活動をしています。テーマは「難民キャンプが地域住民に与える影響」で、これまでに8人の会員が調査に参加しています。国際保健研究会の研修旅行は、通常3週間で15万円前後です。

 こうしたNGOや学生サークルによる企画以外にも、自治体主催の国際交流企画や財団が募集する研修旅行などもいくつかあるようです。インターネットなどを利用して探してみてください。もちろん、個人で海外旅行の企画を立てて、思い切って途上国を旅行してみるのもいいでしょう。きっと楽しい思い出とともに、なにかしら確かな手応えを感じるはずです。

 学生時代に、ボランティアとか、国際協力とか、難しく考えたり、気取る必要はありません。いろいろな機会を利用して、ただ旅人として、気軽にのぞきに行ってみてください。そしてもし、あなたが偏見にしばられることなく、それまで知らなかった国を好きになれたなら、いつかあなたはその国と日本とのあいだに、橋を架けることになるかもしれません。

【高山義浩・山口大学医学部学生】


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