■ ラオス近況  〜ASEAN加盟から1年〜

1998年07月15日


 ラオスは、面積は本州に匹敵するが、人口は福岡県程度、国民総生産は宇部市の市民総生産の半分にも満たない。そして、東南アジア諸国の中で唯一、海のない国である。その地理的条件から「ランド・ロック・カントリー(陸に閉ざされた国)」といわれ、活気づく東南アジアにありながら、どことなく忘れられた存在となっている。

 そんなラオスも最貧国脱出をかけて奮闘中である。国家目標は「2020年に最貧国から開発途上国の仲間入りをする」ということ。昨年7月、悲願のASEAN(東南アジア諸国連合)加盟を果たし、その第一歩を踏み出している。

 ところが、ASEAN加盟後、ラオス政府はまた壁にぶつかったようだ。議論好きといわれるASEANの会議は、年間200日以上にもなる。ここで、英語力をはじめとする官僚の能力不足が露呈してしまった。ラオス政府は、これに対処するため各省庁の官僚300人を国内で、100人をASEAN諸国で約半年、英語の集中特訓をする研修を行なっている。

 一方、内政でもラオスは苦境に立たされている。ラオスは昨年、干ばつ、洪水、害虫などで4万4100ヘクタールの水田が被害にあい、食糧不足が深刻化している。しかし、実はこの食糧不足は自然災害によるものだけではない。ラオスのコメが隣国タイに流出しているのである。

 特に中南部の肥沃なサバナケット地方では、タイ・ラオス間の交易が盛んで、多くの農民が外貨を得るためコメをタイへ売却している。とりわけ、今年はインフレが激しく、年頭には1ドル=2500キップだった為替レートが、現在は1ドル=3450キップに下がってしまった。肥料も農業機械もタイから購入している農民にとって、外貨を得ることは死活問題なのである。

 この数年間、ラオス政府はコメ不足解消のため、日本の援助などで毎年1万数千トンのタイ米を輸入しているが、これは悪循環を助長させるシステムとなりつつある。この問題では、農村開発を中心とした複合的な戦略で、ラオス農村が基礎体力をつけてゆく必要があるだろう。また、ラオスは道路事情が悪いので、河の対岸、つまりタイに持ち出すのが手っ取り早いということもある。つまり、国内流通網の整備も求められている。このあたりは日本のODAの力の見せ所なのではないか。

 解決は、よく知ること、知られることが第一歩である。これ無くしては、全ての対応が付け焼き刃に終始してしまう。最貧国から脱出する前に、「忘れられた国」からの脱出が必要だろう。ラオス政府は、1999年を「ラオス観光年」とし、世界にラオスを紹介しようとしている。世界の人々がラオスを訪れ、ラオスを身近に感じてくれるよう期待したい。

【高山義浩・山口大学医学部学生】


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