7. 隊員の情熱は変わらず
「やっぱり小さい救急車はだめなんだ」
高規格救急車が稼働を始めたころ、従来型の救急車に乗っていたある救急隊長が現場
で市民にこう言われたそうである。
同じ救急隊員として一生懸命頑張っているのに「救急車の型が違うというだけで、な
ぜこんなことを言われるのか、涙が出るほど悲しかった」と彼は私に話をしてくれた。
秋田市では現在、5台の救急車が稼働している。このうち3台は救急救命士が重篤患者
に、医療行為を行うための器材を搭載した高規格救急車であり、見た目にも従来型より
一回り大きい。残る2台はB2型と呼ばれる従来型の救急車である。
もし、高規格救急車が配備されていない消防署の管轄で、重篤と思われる救急要請が
あれば、管轄の救急隊と高規格救急車が同時に出動する。これはランデブー方式と呼ば
れており、合計6人の救急隊が現場へと向かう。現場に近い管轄救急隊が真っ先に到着
し、患者に救いの手を差し伸べる。間もなく高規格救急車が到着、患者を収容し、さら
に高度な処置を行いながら、高規格救急車で医療機関へと向かう。現場には最初救命活
動を行ったB2型の救急車とその隊員が残る。
市民はポツンと残ったこの救急車を見て「やはり、後から来た大きい救急車でなくて
は助からない」と思うらしい。
しかし、秋田市ではランデブー方式での救命率が高く、心肺停止状態から社会復帰し
たケースをみると、ほとんどの患者の容体は高規格救急車の到着前の処置で改善されて
いる。
時間との勝負が要求される救命の現場では、最初に到着した救急隊の的確な観察と処
置が重要であり、救急医療の流れの中でも患者の生死を左右すると位置付けられてい
る。
秋田市では約50人の救急隊員が24時間態勢で出動に備えている。B2型救急車の隊員
もいれば、高規格救急車の隊員もいる。
確かに外から見る救急車の形や大きさは違うかもしれない。しかし、中に乗っている
救急隊員の「何としても患者を救命する」という情熱に変わりはない。
2台の救急車が皆さんの家に駆け付け、高規格救急車が病院に向かった後、そこには
淡々と次の出動準備をしている救急隊員の姿があるはずだ。
本当に「ありがとう」と言われるべき救急隊員たちの姿が----。
(秋田市土崎消防署・救急救命士・佐藤理)