29. 横にして気道確保を
「子供が急病」という通報により救急出動する中で、けいれん発作によるものが少な
くない。
小児は成人に比べ、けいれんを起こしやすく、熱性けいれん(ひきつけ)、脳炎、髄
膜炎てんかん、そのほかにもさまざまな疾患でけいれんを起こす。
特に頻度が高いものに熱性けいれんがある。生後6カ月から6歳頃までに多く発症し、
小児の15人に1人は経験するといわれている。風邪などのために38度5分以上の高熱を出
したとき、突然けいれんを起こすもので、主に熱の上がり際に発症する。予後は良好で
ある。
けいれんの症状は多種、多様で、一概にはいえないが、手足を突っ張り、全身が小刻
みに震えたり、体をガクガクさせたりする。そして発作中は呼んでもつねっても、まっ
たく反応がなくなる。それを目の当たりにした家族たちは、気持ちが動転し、心配や不
安から慌てて119番通報することが多い。
しかしながら、けいれん発作はほとんどの場合、2、3分で治まり、私たちが着いたと
きには、すやすやと眠っていたり、大きな声で泣いていたりする。意識さえしっかりし
ていれば、救急車での搬送が必要な子供はほとんどいない。
ただし、けいれんが5分以上続いたり、2、3度繰り返す場合、あるいは半身だけのけい
れんが続く場合は、ただちに救急要請してもらいたい。けいれんが続いているときに
は、口や鼻の周りの吐いた物やだ液をふき取り、体を横にして気道を確保し、空気を通
りやすくしてやるなどの応急手当てが必要だ。
また舌をかむということで、口の中にはしや指を入れていることがあるが、けいれん
発作時には舌が後ろに引っ込み、けがはしないのが普通であり、口の中に物を入れるこ
とにより、かえって気道をふさぐことにもなるので、何も入れない方がよい。
以前、救急現場で経験したことだが、家人があまりにも慌てて、子供の口の中に指5本
を入れ、空気の通り道をふさぎ心肺停止になってことがある。
吐いた物による窒息や基礎疾患がなければ、けいれんだけで心肺停止に陥ることはほ
とんど考えられない。落ち着いて行動してほしい。
(秋田消防署・救急救命士・松本勉)