2. 迅速な「119番通報」を
家庭で、職場で、皆さんの愛する人や同僚が突然、倒れた瞬間から、生死を左右する
「命の砂時計」が“作動“する。
「大変だ!」と思い「119」のダイヤルを回しているときも、通報を受け、サイレンと
ともに車庫から救急車が出動する瞬間も「命の砂時計」の砂は落ち続けている。
交通渋滞の中、やっとの思いで現場に着き、救急車から飛び降りるようにして患者宅
へ向かう。一秒も無駄にできない。
しかし、すでに患者の意識はなく、呼吸、心臓も停止している(以降、心停止とす
る)。不安な表情で見守る家族の前で、私たちはできるだけの器材を使い、必死に救命
活動を行う。
発生時間と時間経過を特定するため、家族に「倒れて、どのくらいして119番通報しま
したか」と聴く。ほとんどの家族が「たった今です」と答えるが、一見して時間が経過
している、と思われるケースも少なくない。
秋田市では毎年150人前後の心肺停止患者が救急隊によって処置搬送されている。
しかし、このうちのほとんどの通報者が迅速な119番通報を行っていないのが現実であ
る。仕事をしている他の家族に連絡して、どうすればよいか指示を仰いでから通報した
り、救急隊が到着すると隣近所の人たちでごった返していたり、中には親類中に電話を
かけ、40分以上たってからやっと通報していた例もあった。
確かに、家庭や職場でだれかが倒れ、ましてやその人に意識がないとなれば、その人
はろうばいする。しかし、こんなときこそ迅速な119番が必要なのである。なぜなら、い
かに優秀な救急医療システムが構築されていても、そのシステムは通報なしには作動せ
ず、失われつつある命は決して戻ることはないからである。
もちろん、救急隊が到着したとき「命の砂時計」はすっかり、落ち切っている。
(秋田市土崎消防署・救急救命士・佐藤理)