かけがいのない我が子を守るために
子供の突然死は気道系の問題(窒息、溺水、気管内異物等)により起こることが多い。普段元気な子供がちょっと目を離している隙に亡くなってしまう事は非常に悲しく辛いことである。かけがえのない我が子がこのような目に会わないように、普段から子供の身近にある危険について十分認識しておく事が大切である。

乳児突然死症候群(SIDS)
 SIDSは、解剖、現場の死亡状況、既往歴から死因が説明つかない1歳未満の乳児の突然死である。生後1カ月未満はまれで、大半は6カ月以下の乳児である。米国では、年間7000-10000名が、わが国では1995年では579名(男341名、女238名)が本症候群で死亡しているが、うつぶせ寝をやめよう、たばこを控えよう等のキャンペーンが行われてから、わが国のSIDS発症率(/1000)は0.5/1000から0.3/1000に低下した。

危険因子 SIDS 健康児
仰向け寝 57.0% 75.9%
うつぶせ寝 34.0% 15.4%
両親どちらか喫煙 74.0% 66.1%
両親とも喫煙 22.8% 8.0%
母乳 21.2% 39.3%


  (SIDSの聴き取り調査、377名) 乳幼児死亡の防止に関する研究班(1996.6.1)



原因肺、呼吸中枢の反応性異常、自律神経系の機能異常、overheating、覚醒障害、再呼吸等が考えられているが、現在までのところ以下の病態が有力である。

危険因子
 睡眠時の体位
  うつ伏せ寝>横向き寝
   うつ伏せ寝を止めるキャンペーンを行ったら、SIDSも減少した。横向き寝も睡眠中うつ伏せになることも有り、好ましくはない。日本では、うつ伏せ寝で3倍の危険。
  日本でもSIDSの防止キャンペーンがようやく実現(厚生省、1998.6.1)し、発生率は低下した。


 母親側の危険因子
  1)喫煙、(哺乳力が弱く、人工乳となる場合もある)
  2)若年妊娠(20歳以下)、
  3)コカイン、麻薬常用者、
  4)早産、
  5)妊娠中の病気、
  6)妊娠回数の増加
  7)多胎
 これらの因子は相互に関連を持ち、胎児の発育、育児に影響を与えます。妊娠中は母体の健康管理だけでなく、胎児の発育状態も定期的に検診を受け、確認するようにして下さい。受動的喫煙も胎児に悪い影響を与えますので、妊娠中、授乳期中の妊婦さんが居る家庭では喫煙は控えるようにしましょう。
赤ちゃん側
  1)子宮内発育不全、
  2)早産(38週以下)、
  3)低出生体重(2500g以下)、
  4)男
 他因子
  1)冬、
  2)屋外、
防止するために
1)SIDSがどんな病気(事故ではない)か正しく認識する。また、いざという時の対応(乳児の応急手当て等)も覚える。
2)うつ伏せ寝を止め、仰向きに寝かせる。横向きもだめ。病態によっては、うつ伏せの方が良い場合もある。
3)妊娠中、授乳期の禁煙(託児所、保育園も禁煙に)。
   ヘビースモーカの母親程、SIDS発症の危険性が高い。日本でも、両親の喫煙は4.7倍危険性を増す。妊婦がたばこを吸わなくても、家族の吸うたばこの煙にさらされるだけで、妊婦や赤ちゃんの髪にニコチンが蓄積します。家族みんなでたばこを控えましょう。また、喫煙する時は妊婦の前は避けたり、部屋の換気にも配慮して下さい。
4)母乳で育てよう。母乳児の方があごの発達が良く、また、免疫力も強い。
5)赤ちゃんを暖めすぎないように。
6)赤ちゃんの周りに誰かがいる育児環境。
7)柔らかすぎるマットレスを使用しない。
   柔らかいと赤ちゃんが沈み、そこにエアポケットができ、高濃度の炭酸ガスを吸う可能性があります。また、窒息する危険性もあります。
8)妊娠中は早めに検診を受ける。胎児の発育状況、母親の健康状態等のチェックのため。
9)添い寝はだめか?。
   添い寝がSIDSの危険性を増すとの報告や逆に軽減させるとの報告がある。大人と同じ部屋で寝かすと、その危険性が軽減するとの報告がある。赤ちゃんをベッドで寝かせながら、いつも同じ部屋に誰かが寝ている生活スタイルを。
10)おしゃぶりの使用は?
   おしゃぶりを使用した赤ちゃんでは、SIDSは少ない。ノルウェイの報告によると、SIDS児でおしゃぶりを使用していたのは10%であったのに対し、それ以外の子供ではいつも使用が25%、夜間のみが24%、日中のみが23%であった。その有効性については不明。

(注)低出生体重時の赤ちゃん(2500g以下)の生後13-24週でのうつ伏せ寝は特にSIDS発症の危険性が高い。


ノート乳幼児突発性危急事態(ALTE)
  それまでの健康状態及び既往歴からその発症が予測できず、しかも児が死亡するのではないかと観測者に思わしめる様な無呼吸、チアノーゼ、顔面蒼白、筋緊張低下、呼吸窮迫などのエピソードで、その回復に強い刺激や蘇生を要したもののうち原因が不明なもの家庭の中は危険でいっぱいです。事故に注意しましょう。

親の不注意による事故は未然に防ぎましょう。
1)溺水:子供はバケツ、洗面器でも溺れます。浴槽の水は抜きましょう。水泳を習わせることも大切です。
2)気管内異物:1歳未満の乳児の事故が最も多い。死亡例の90%以上は5歳以下、その内65%
  は1歳以下。気管異物は豆類(ピーナツ等)が多いので、乳児に豆類は与えない。また、食
  事中、びっくりさせないことも大切。主症状は突然の喘鳴、呼吸困難、咳。慌てて、盲目的
  にものを取り出そうとしない。逆に喉の奥に押し込む可能性がある。
  年齢にあったおもちゃを与えて下さい。小さな部品、電池等は事故の元。
3)たばこ:家庭用品中毒の中で、最も多い。2歳未満(8カ月がピーク)に多い。たばこを飲み
  込んで30分以内に症状が出なければ、ほとんど問題なし。缶ジュースの缶を灰皿代わりに
  したり、灰皿に水を入れて置かないように。たばこは水に浸されますと、ニコチンが溶け出 
  してきますので、それを子供が飲むと、症状が強く出る可能性があります。
4)熱傷:熱いお湯がかかったときは慌てず、すぐに水を衣服の上からかけてから衣服を脱がし
  ましょう。熱は皮膚の奥深くまで浸透していきますので、皮膚の深いところまでのやけどに
  ならないように15分程度は水で冷やします。炊飯器等は手の届かないところに(湯気でも
  やけどします。)家庭内の熱源は子供の手の届かないところに置きましょう。ストーブはつけたままにしない。乳幼児だけを残してちょっとそこまででも行かないようにしましょう。
5)転落:転落事故は多い。ベッドの柵は上げておく。階段の上がり口にも柵を。べビーカーで
  はベルトを。ベランダにはものを置かない。等のちょっとした注意を。
6)ボタン電池:アルカリが含まれているので、接触部で壊死を起こす可能性があります。
7)交通事故:チャイルドシートに乗せるようにしましょう。自転車に乗せるときは、親が自転車にまたいで乗った後に、降ろす時は最初に。また、ヘルメットの着用も重要です。


事故を未然に防ぐために

1)赤ちゃんの行動範囲を過小評価しない。(予想以上に動き回ります)
2)転がり落ちそうなところ(机、テーブル等)に赤ちゃんを放置しない。転落事故は多い。
3)年齢に応じたおもちゃを。重いもの、小さなものは乳児には危険である。
4)家具のそば、水のそばは危険大です。目を離さないように注意して下さい。
5)安全な環境保持、注意深い観察が大切である。赤ちゃんの目線で一度周りを見て下さい。
6)赤ちゃんが今どこにいるか、何をしているか常に知っておく。
7)さわるな、たべるな、ダメというような言葉を早めに教える。いざという時役立ちます。
8)赤ちゃんを一人にしない。赤ちゃんが寝ているから、ちょっとそこまで!これは危険!

乳児の特徴
1) 乳児(特に新生児)の呼吸は鼻呼吸が主である。
  1)風邪等で鼻が詰まっていると、呼吸困難になりやすいし、機嫌が悪い。
     鼻が詰まっているときはこまめに吸引をする。
  2)扁桃腺、アデノイドが大きくなると容易に呼吸困難に陥ります。普段より注意深い観察を。 
2)脱水になりやすい。特に、熱があるときは、外出は控え、こまめに水分の補給を。
   熱性けいれん:38℃以上の発熱が原因で3カ月から6歳の乳幼児に起こる全身性のけいれん発作。発作は数分内(1-2分、長くても20分以内)に治まる。はじめてのけいれん、長時間続くけいれん、片側のみのけいれん、学童期のけいれんは病院で診てもらいましょう。


家庭で起った事故例

1歳女児、弁当箱に入っている醤油さしによる窒息。
3歳女児、寝ころびながらミルキーをなめて、窒息。
1歳女児、ミニカップゼリーがのどに詰まった。
9ヶ月男児、おかきを喉に詰め、急に倒れる。
3歳女児、母親が下痢止め錠剤を飲ませ、気管内に錠剤が入った。
7歳男児、自宅でこんにゃくゼリーをたべ、窒息。
2歳女児、ままごと遊びで半卵型のプラスチックおもちゃ誤嚥し窒息。
8歳男児、シャープペンシルのキャップを口にくわえ誤って喉に詰めた。
4ヶ月女児、3才の兄が飲ませた正露丸が大量で気管に詰まった。
1歳男児、長男4歳と2人だけでベビーベッドで就寝中、ふとんを3枚掛けられ死亡
2歳女児、母親が洗濯を中断し、別の部屋へ行った隙に洗濯機内に入り溺死。 
2歳女児、ベランダの洗濯機内に落ちて死亡。
1歳男児、実母と2人のこどもが入浴中、長男の整髪中、溺死。
1歳6ヶ月男児、浴槽内に転落して死亡。
1歳3ヶ月男児、父と入浴後、一人で浴槽内で遊び死亡。
2歳男児、沸いている浴槽のふたに乗り転落、熱傷で死亡。
10歳男児、知的障害で入通院中、自宅浴槽内でぐったりしていたもの。
     (てんかんや知的障害患者の入浴は、リスクが高く、事故の起こる率が高い)
1歳4ヶ月男児、母外出中、ワゴンにつながった電気コードが首に巻き付き窒息。
10ヶ月女児、ブラインドの紐が偶然首に掛かってからまり、寝返り時に窒息。
2歳男児、母親の外出中、ビニール製の洋服カバーの下に倒れていた。
7ヶ月乳児、ベッドと壁の細い隙間に挟まれ、死亡。
フィルムケースのキャップによる窒息
スーパーのナイロン袋を口でちぎって遊んでいて切れ端がのどの奥にひっかかり窒息。

また、イスからの転落、階段からの転落等も多いです。

家庭での事故の多くは窒息、溺水、転落です。ちょっとした親の注意で防げると思います。たとえ寝ていても、子供を一人家に残して外出しないようにしましょう。
もう一度、あなたの身の回りに子供にとって危険なものがあるか探してみて下さい。
    
お子さんだけでなく、ご主人やご両親にも気配りを。

心筋梗塞は発症1時間以内に亡くなる方が多い怖い病気です。狭心症、高血圧、糖尿病、動脈硬化があれば、心筋梗塞をおこす危険性が増しますので、早めに病院で治療してください。また、狭心症のある方は1)発作が瀕回になった、2)胸痛の時間が長くなった、3)安静時にも胸痛が出現した場合はすぐに病院で診てもらって下さい。深夜に発症した場合、病院に行きにくいですが、病気は朝まで待ってくれません。すぐに119で救急車を呼びましょう。
40歳以上の男性で胸痛がある場合は狭心症、心筋梗塞の可能性があります。病院で診てもらうようにして下さい。特に冷や汗を伴うときは要注意。 規則正しい生活と健康管理!!

高齢者は夜間トイレに行くのを嫌がり、水を控えますが、水を控えますと、血液が粘稠になり、血液の流れを悪くし、脳梗塞、心筋梗塞等を起こしやすくなります。寝る前にコップ1杯のお茶(水)を飲むようにしましょう。また、高齢者が入浴中に死亡されるのは(特に冬)珍しくありません。高齢者が入浴する時は、家族みんなで注意して見る(呼び掛け等)事が大切です。


子供にはいざというときは、両親に電話する前に、まず119番通報するように教えましょう。


家族みんなで心肺蘇生法(乳児と成人では若干異なります)を覚えましょう。

ちょっとした家族の気配りで安心して暮らせる家庭を。

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