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内分泌の病気

しょうにないぶんぴ
くる病
骨とは何でしょうか?

骨は、1型コラーゲンなどを主体とした骨基質とその骨基質周囲を取り囲むリンやカルシウムなどを主体としたコーティング(骨塩)から構成されます。骨を鉄筋コンクリートの建物に例えると、骨基質が鉄骨に、骨塩が鉄骨周囲を固めるセメントに相当し、そのどちらに問題が生じても丈夫な骨はできません。また、ヒトは常に古くなった骨(骨基質および骨塩)を壊すこと(骨吸収と呼びます)と新しい骨(骨基質および骨塩)を作ること(骨形成と呼びます)を繰り返しています。骨はできあがったらそのまま、ということはなく、いつも入れかわっているのです。

子どものときには、骨吸収を骨形成が上回るので骨が伸びる(=身長がのびる)ことになります。

くる病とはどんな病気でしょうか?

子どものときにカルシウム・リンが骨基質に十分に沈着せず、骨塩(セメント部分)が不十分な弱い骨ができてしまう状態です。

くる病ではどんな症状がでるでしょうか?

骨が柔らかく、曲がりやすくなり、伸びにくくなります。具体的には、頭蓋骨を指で押しただけで凹むほど柔らかい、乳歯の生えるのが遅い、虫歯になりやすい、下肢が曲がる(O脚やX脚)、身長が伸びない、転びやすいなどが挙げられます。

くる病の原因にはどんなものがあるでしょうか?

くる病の原因にはいくつかありますが、おおまかには、カルシウムの不足、リンの不足、ビタミンDの不足の3つです。カルシウムの不足あるいはリンの不足があれば、骨塩が不十分な弱い骨ができてしまいます。また食物中のリンやカルシウムは、ビタミンDの働きにより腸から体内への吸収が促進されます。さらに、ビタミンDはカルシウム・リンの骨基質への沈着も調節しています。そこで、ビタミンDの不足があると、やはり骨塩が不十分な弱い骨ができてしまうのです。

1)カルシウムの不足

一般的にカルシウムは日本人全体で不足しているといわれています。乳製品・しらす・小松菜などはカルシウムが多い食品の代表です。

2)リンの不足

リンは様々な食べ物に入っていることから、一般的に不足することはありません。ただし、低リン血性くる病という遺伝子の変化による疾患では、リンが尿中に漏れ出てしまいます。その結果、この疾患の患者はリン不足に陥り、くる病を発症します。

3)ビタミンDの不足

ビタミンDが不足すると、いくらカルシウム・リンを食物から摂取しても腸から体内に吸収されにくくなります。このため、ビタミンD不足にならないことはくる病予防の上でとても大事です。ビタミンDは食物から摂取する方法と日光浴(より具体的には紫外線暴露です)によって皮膚で生合成する方法と2つの方法があります。ビタミンDは、サケ、サバ、イワシなどの魚や卵黄などの食品に多く含まれています。また、母乳にはビタミンD含有量が少ないため、完全母乳児ではビタミンD不足に陥る可能性があります。くる病予防のためには、妊娠中から母体が積極的にビタミンDを多く含む食品を摂取するよう心がけることが大切です。

近年、社会全体の流れとして紫外線による皮膚がんのリスクや皮膚老化のリスクを過度に気にかける傾向があります。このため、乳幼児・小児期においても紫外線暴露を避けるように推奨する風潮があり、くる病が増加傾向にあります。しかし、ビタミンD不足およびくる病の発症予防のためには、外に出て日光を浴びることも大切です。

くる病はどのように診断されますか?

経過や身体の診察でくる病が疑われた場合には、血液検査と骨レントゲン撮影(手首や膝を撮影します)を行います。血液検査では、血液中に含まれるカルシウム、リン、ビタミンDの濃度や、アルカリホスファターゼと呼ばれる骨を合成する際に働く酵素の活性を調べます。くる病では、血中のアルカリホスファターゼ活性が上昇します。また骨レントゲンで、くる病に特徴的な骨の変化があれば診断可能です。

くる病の治療はどのように行うのでしょうか?

くる病の治療の基本は、日光浴の推奨と食事療法です。重症の場合には、なるべく早くくる病を治すためにビタミンDを薬として内服することもあります。いわゆる生活習慣が原因のくる病(例えば、極端な外出制限など)は、生活習慣の改善により治すことのできる疾患で、再発も予防可能です。しかし、低リン血性くる病といった遺伝子の変化による疾患の場合には、継続的にリンやビタミンDの内服が必要です。