近年、「医療の質」が問題にされるようになり、その対応の一つとしてクリニカルパスの普及が進んでいる。当院においては2000年の褥瘡対策開始時点より、褥瘡対策を直接・間接的に病院の質向上に役立たせることを意識していくつかの工夫を行ってきたので、これらについて報告する。
<当院での方法>
当院では褥瘡の定義を幅広く取り、患者についての情報と褥瘡そのものの情報を分離して管理した。また、2004年からではあるが特定日の全入院患者のOHスケールでのリスク保有状況および褥瘡保有患者の状況についても調査を開始した。さらに、被覆材をはじめとする材料の購入方法、皮膚潰瘍治療薬および材料の使用方法も整備した。
<結果・考察>
対策開始当初より褥瘡の定義を幅広く取り重症度にかかわらず一括管理したことと、患者データと創傷データを別個に集積することとしたことから、大量のデータが蓄積されさまざまな観点からの分析に有用であった。また、個々の患者ばかりでなく病院全体の動向も把握が容易になったため、病院全体の管理にも有用な資料となった。さらに、薬剤・被覆材の購入量・使用量についてもかなり正確に把握できており、巷間いわれている材料費・薬剤費に関する話題にも冷静に対処可能であった。
昨今広まりつつある褥瘡対策・感染対策・NST活動はいずれも意識付けを明確に行えば、個々の目的を越えて病院の質向上に有用であることを強調したい。当院の活動がその参考の一つになれば幸いである。
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