第1回がん三次元培養研究会 報告記

「がん三次元培養が育む新たな医療の方向性」
 ~ 内分泌がん、消化器がんを中心として ~

会期:平成29年12月11日(月)13:30 ~ 18:00

会場:国立がん研究センター 新研究棟 1階 大会議室

主催:がん三次元培養研究会


第1回のがん三次元培養研究会年会が、予定通り2017年12月11日(月)行われましたので、御報告させていただきます。
 文責:代表幹事 岡本 康司


1. 学会概略

第1回研究会は、国立がん研究センター新研究棟にて、「がん三次元培養が育む新たな医療の方向性」をテーマに行われました。三次元培養研究者の発表を中心としたメインプログラムは、午後1時半より6時まで大会議場で行われた。一方、ポスターセッション及び企業展示は、隣接するセミナールームにおいて行われました。

2. 学会発表

組織委員長の岡本による開会挨拶の後、国内外の6名のアカデミアの先生方による、それぞれの最新の研究知見に関する発表が行われました。三次元培養法については、それぞれのグループにより多岐に渡り、がん臨床検体のオルガノイド培養、スフェロイド培養、CTOS法などの培養法による研究成果の他、Patient-Derived Xenograftを介した研究法についても紹介がなされました。がん腫の違いのみならず、それぞれの培養法によるユニークな知見が紹介されました。発表内容に関して、基礎研究及び臨床研究の側面から活発な質疑応答が行われた。発表終了後は、中釜斉がん研究センター理事長より、全体の総括及び今後の展望について締めのご挨拶を頂きました。

3. ポスター

アカデミアの研究者による16のポスターセッションが行われました。学会発表の間に、質疑応答の時間を設けましたが大変な盛況でした。今後の研究会ではポスターセッションの時間及びスペースの拡充が必要と考えられました。

4. 企業展示

3社(株式会社SCREENホールディングス、株式会社セルシード、日本バイリーン株式会社)による企業展示が、ポスター会場と同じセミナールームで行われました。各社による製品紹介が行われました。

5. 学会総括

第1回研究会では、総数150名を超える研究者にご来訪頂き、盛況のうちに無事終了いたしました。又、研究会後の情報交換会にも約40名の方にご参加頂き、有益な意見交換ができたと考えております。本研究会は、基礎研究と臨床研究のアカデミアの研究者、及び企業の方々が集い、様々な革新的な三次元培養法をさらに深化、拡張させるとともに、様々ながん腫に応用する事で、がん研究の新たな研究基盤を確立する事を目指しております。今後も皆様のご意見を頂戴しながら、自由闊達な意見交換の出来る場として活用できる研究会として、継続進展させていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

6.発表演題一覧

 海野 研二(Northwestern Univ. Feinberg School of Medicine, USA)
 「オルガノイド及び患者腫瘍組織移植モデルを利用したヒト正常前立腺上皮の
  悪性転換と原発性前立腺癌の培養法」

 井上 正宏(大阪国際がんセンター)
 「CTOS法の開発と応用」

 後藤 典子(金沢大学がん進展制御研究所)

 「乳がんスフェロイドとがん間質細胞培養を用いた腫瘍微小環境治療標的の探索」

 加藤 聖子(九州大学医学部)

 「子宮内膜と子宮体がんの幹細胞」

 岡本 康司(国立がん研究センター研究所)

 「難治がんスフェロイドの特性解析による新たな治療標的の同定」

 Mitchell Lawrence(Monash University, Australia)

 “New patient-derived models for high throughput preclinical testing
  of prostate cancer”