プライマー伸長法(加藤 和彦)

 mRNAの転写開始点を決定したり、転写活性の定量を行うために用いられる。遺伝子内に由来するプローブをRIで標識し相補的RNAとハイブリダイズさせた後、逆転写酵素で伸長させる。

@プライマー(合成オリゴヌクレオチド)の5’末端標識

 プライマーは合成オリゴヌクレオチド(20〜30mer)を用いることがほとんどである。二本鎖DNAを用いることもできるが、DNA-DNAリアニーリングの問題がありハイブリダイゼーションの条件設定が難しいようである。

   primer 1〜50 pmol

  [γ-32P]ATP (3000Ci/mmol) 0.37〜3.7 Bq

   T4 polynucleotide kinase 5〜20 U

   10×buffer (500mM Tris-HCL(pH8.0), 100mM MgCl2, 50mM DTT)

   Total 20〜100μl

   37℃ 30min

   70℃ 5〜10min(酵素失活)

反応終了後、エタノール沈殿しTE buffer or DWで沈殿を溶解する。一部をとり、チェレンコフ光を測定し5×105cpm位(条件検討を行い、できるだけ少量)を用いる。

Aハイブリダイゼーション

 RNAはtotal RNAよりもpoly(A)+RNAを用いたほうが、感度が高くきれいな結果が得られるようである。また、用いるmRNA, primerの量、ハイブリの温度、時間等は条件検討をおこなう必要がある。

   Tris-HCl(pH8.3) 10mM

   EDTA 1mM

   KCl 0.25M

   primer 5×105cpm位

   mRNA 数μg

   40〜60℃、数時間アニーリングさせる。

B逆転写反応

 アニーリングしたものを希釈して以下のようにする。

   KCl 75mM

   MgCl2 10mM

   Tris-HCl(pH8.3) 20mM

   DTT 10mM

   4dNTPs 各0.25mM

   reverse transcriptase 100unit/ml

あるいはアニーリング後、一度エタ沈し逆転写酵素に添付のbufferで溶解する。そしてdNTPと酵素を加える。

   42℃ 1h (伸長反応は mRNA 内の二次構造形成を抑えるため42℃でおこなう)

 エタ沈、ホルムアミド色素溶液(90% formamide, 5mM EDTA, 0.05% BPB, 0.05% XC)で溶解する。

C電気泳動

 6%ポリアクリルアミドゲル(一般的なシークエンス用のゲル)で泳動する。この時、伸長産物のレーンの隣に同じプライマーを用いて行ったシークエンスのサンプルも同時に泳動しておき、泳動後バンドを比較し解析をおこなう。

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