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勁の明暗・距離・状態による分類
勁の表現の違いに名称がついているものであり,具体的な体の使い方を指すものではありません.
(1)【明勁・暗勁・化勁】
…勁の放ち方による分類.
『明勁』(めいけい) 放ったことがわかり,どのように放ったのかも明確に分かる勁.具体的には,筋力や体重などを協調させる場合が多い.
『暗勁』(あんけい) 放ったことは分かるが,どのように放ったかが分かりにくい勁.具体的には,内臓を含めた全身を協調させる場合が多い.
『化勁』(かけい) 放ったことが分からない勁.具体的には,相手をも含めた大きな系の協調で放たれる勁.あるいは,相手の勁の方向を変えつつ,その勁力を無力にせず,相手に返すこと,と表現する場合もある.二義的には,相手の体勢を崩す,位置関係をも含めて自分に有利な状況を作り出すなどの意味が含まれることもある.
(2)【長勁・短勁】
…勁の放たれる距離の長さによる分類.
『長勁』(ちょうけい) 距離の長い勁.胸式呼吸を伴うことが多いと言われる.
『短勁』(たんけい) 距離の短い勁.腹式呼吸を伴うことが多いと言われる.
(3)【丈勁・寸勁・分勁・零勁】
…具体的な距離の長さによる分類.
『丈勁』(じょうけい) 長勁の一種.丈は約3m.箭歩を用いることが多い.
『寸勁』(すんけい) 短勁の一種.寸は約3cm.
『分勁』(ふんけい) 短勁の一種.分は約3mm.
『零勁』(れいけい) 短勁の一種.距離は0.動きの見える,見えないには関係ない.
(4)【剛勁・柔勁】
…勁の剛柔による分類.
『剛勁』(ごうけい) 剛の動きによる勁.
『柔勁』(じゅうけい) 柔の動きによる勁.
(5)【内勁・外勁】
…勁の生じる場所による分類.
『内勁』(ないけい) 体の内から生じる勁.具体的には,体の重心や正中線から生じる勁がこれに含まれる.
『外勁』(がいけい) 体の外で生じる勁.具体的には,腕の遠心力や反止勁などのようなものがこれに含まれる.
(6)【摘勁・透空勁】
…駆け引きやフェイントに基づく分類.
『摘勁』(てきけい) 相手が動こうとしてまだ動かず,相手が止まろうとしてまだ止まらないときに,まるで物を吊るように用いられる勁.
『透空勁』(とうくうけい)空間的に離れた相手の精神や肉体に,何らかの感覚を生じさせる技術,あるいはそれに基づく勁.広義では,フェイントもこれに含まれる.
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