X線CT理論

これらは放射線技師のために書きました。仕事のお役に立てられることを接に祈って利用してください。これを書くのにご協力いただきました東芝メディカル、日立メディコなどいろいろなかたがたの御協力をいただきました事に対して、深く感謝しております。

1972年、イギリスのG.Hounsfi1dはシンチレーション検出器を用いて透過X線量を計測し、膨大な計算処理をコンピュータを用いて行うことにより人体の断面像を画像化することができるX線CT(computed tomography)装置を実用化した。その後このX線CT装置は、第1世代から第5世代へと急速に進歩発展してきている。今まで述べてきたX線撮影、特殊撮影の技術は全てX線投影データをそのまま画像として用いるものであったが、X線CT装置は、未知の内部構造をもつ物体に対して外部からの多方向からのX線投影データをもとに、その物体の吸収係数の分布を計算によって求めることで内部構造を画像化するという点においてそれらとは全く異なるものである。そしてその密度分解能はX線フィルムで得られるものと比較すると大幅に改善され放射線医療に大きな変革をもたらした。またCT画像はX線画像領域ではディジタル画像の先駆けともいえる。

 

原理

(principle)

 

1.X線投影像の収集

X線CT装置における撮影は充分に絞り込んだX線束を体軸に対して直角方向に入射し、前面に絞りを有するX線管球に対向した検出器にてその値を計測する。X線管と検出器を連動させて平行移動しながら同様に計測する。1回の走査が終了するとX線管、検出器は一定角度回転し再び走査を行う。これを180度にわたって多方向からの投影を求める。X線を充分に絞らなければならない理由は散乱線を極力少なくする必要があるからである。今、投影上のある1点のX線強度をI、そのときの入射X線強度をI0とし、X線を単一エネルギーとすれば次式が得られる。

 

=Ioexp(一Σμi・∠lxi)

 

μiはX線が透過する組織の減弱係数、

∠xiはその組織の微小領域の長さを表す。今、∠xiを一定とすれば式(1)は次式のように表せる。

I:I.exp(一Σμi・∠x)

 

Ioge*I0/I=Σμi・∠XI

 

となる。これは入射X線強度I。と透過X線強度Iを測定すれば減弱係数の総和が求められることを示している。これを多方向から撮影すれば、二次元の平面における任意の点を通るあらゆる積分データが測定できることになる。このデータから数学的手法によりμiを計算し画像として表示するものである。

 

2.画像再構成処理

X線CT装置による断面の画像化においてその基本となる重要な事項として、多方向からの一次元投影データによる画像再構成のためのアルゴリズム(数学的手法)がある。再構成の基本原理は1917年にオーストリアの数学者J,Radonによって報告されている。それは二次元の平面内の任意の点を通るあらゆる角度方向の積分データ、他の任意の点を通るあらゆる角度方向の積分データ、同様に平面内のあらゆる点についての積分データのそれぞれが存在すれば、この平面は再生することができるというものであった。その手法には逆マトリクス法(matrix inversion)、逐次近似法(interactive approximation)、逆投影法(backprojection)などがあるが、ここでは逆投影法を改良した方法で現在主流であるフィルタ補正逆投影法について説明する。

 

3.フィルタ補正逆投影法

(filtered back projection)

逆投影法を改良したもので、基本的には各方向から投影された値を逆に画素面に戻して合計することにより原画像を再現するものである。例として4個の画素からなる横断面の再構成について説明する。原画像を示す。ここで(a)において水平方向で得られた値3,7を逆投影すると(b)となる。次に垂直方向の値4,6を逆投影し、重ね合わせると(c)のようになる。さらに右対角線方向の値1,5,4および左対角線方向の2,5,3を重ね合わせると(e)が得られる。そして総画素数10を減じると(f)となり、最後に各画素の最大公約数3で除すことにより原画像が復元できる(g)。しかし、実際は被写体の中心に吸収値の異なる物体があると図6.16のような投影が得られ、これを順次多方向から求め重ね合わせると断面が再構成できるがこの中心付近にはスポーク状のぼけを生じ、中心の物体からの距離に反比例して減少する。このぼけを除去する方法がある種のフィルタによる処理であり、重畳積分法(convo1ution)という。これは各投影に対して逆投影する前に、これを逆投影することにより再構成された結果が正しい画像になるような補正関数を重畳してから逆投影を行う。このようにして正しい再生画像を得ることができる。フィルタの種類により画像の特性が大きく変化するため診断目的に応じた適切なものを使用すべきである。実際のデータの流れとしては、投影データに一次元フーリエ変換を行うことにより、一度周波数領域のデータにした後、フィルタ関数を乗じて(=重畳積分)投影データを修正し、逆フーリエ変換を行って空間領域に戻した後に逆投影によって再構成を行うという手法がとられている。

 

 

 

 

 

 

走査方式

(scaoingmethod)

1.第1世代

初期のX線CT装置の走査方式で、1個のX線管と1個の検出器が対向して配置され、ペンシルビーム状に絞られたX線を照射し、平行移動しながらデータを収集し、平行移動が終了すると全体が1度回転する。このような平行移動と回転を180回繰り返す方式で、データ収集には約5分を要したため、頭部専用であった。Trms1ate/Rotate(T/R)方式とよばれているが、この方式は現在では実用的価値はほとんどない。

 

 

2.第2世代

第1世代をもとに、データ収集時間を短縮するため検出器を複数個備え、やや広がりをもつ扇状のX線ビーム(marrowfan beam)を使用する。走査法は第1世代とほぼ同じで平行移動と回転を180回繰り返す方式だが、1回の直線走査で扇形の範囲の投影データが得られるので、平行移動回転は少なくてすみ、データ収集時間は20秒〜2分に短縮することが可能となった(T/R方式)。

 

 

3.第3世代

 

X線のビームを被写体を一度にカバーできる大きさの扇状とし、それに見合った検出器を設けたもので、X線管に対向する500個以上の検出器を配列したアレイ状検出器で透過X線を計測する。X線管と検出器が一体となって被写体の周りを360。回転し、データを収集する。この方式は回転運動のみで撮影できるので、機械的信頼性が高く、走査は1〜10秒で完了する。現在主流の方式でRotate/Rotate(R/R)方式とよばれている。

 

 

 

4。第4世代

 

statiomry/rotate(S侭)方式(図6.20)とnutate/rotate(N侭)方式の2種類の方式が存在する。被写体を中心とした円周上に600〜1000個の検出器が配置され、X線管がその内側にあるのが前者で、外側に位置し管球側の検出器が妨げにならないように退避しながら動作するのが後者でありどちらも3600回転する。この方式も機械的信頼性が高く、撮影時剛よ1〜5秒で完了する。5。第5世代ガントリ部にいわゆるX線管を配置せず、タングステンターゲットを下方の半円形に配置、電子銃はガントリ外部に設置し、電子ビームを集東コイルや偏向コイルによって電子的に制御することによりX線を発生させ、撮影時間を大幅に短縮した装置で超高速CTと呼ばれている。検出器はガントリの上方に半円形に設けられている。最も短い撮影時間は50msで心臓のような動きの激しい部分の撮影に適している(図6.21)。6。螺旋スキャン方式従来の第3,4世代のX線CT装置は、X線管への電力供給には通常のX線管と同じ高圧ケーブルが用いられていたため同一方向に連続的に管球を回転させることはできなかったが、スリップリングを用いることにより可能となった。さらに図6.22に示すように管球を運続回転させながら、寝台を一定速度で移動することでデータを螺旋状に収集することができるようになり、CT画像における時間分解能は格段に向上した。このような走査方式はヘリカルスキャン、スパイラルスキャンなどとよばれ、三次元データであることからボリュームCTなどともよばれる。この方式によりスキャン時間が大幅に短縮され、より高度な血流動態検査が可能になるなどの時間的なメリットが生じるだけでなく、体軸方向の空間分解能が向上し3D画像や任意のスライス面の情報量が大幅に向上した。この方式の投影データ群は螺旋状のデータになるため通常の再構成の方法ではモーションアーチファクトを生じることになる。したがって再構成する前にある面における投影データを前後の投影データと距離の関係を考慮し、補間することによって求める必要がある。

 

 

 

 

6・4・3CT値と画像表示(imagebyCT■umber)

X線CT装置は、感度が高く、広いダイナミックレンジを持ち、直線性のよい検出器を使用することにより、きわめて精度の高い情報を取り出すことができ、コンピュータにより厳密な演算を行うことにより目的とする断面のX線吸収係数を広範囲にわたって精度よく求めることができる。水の値を0として相対的に表したCT画像の減弱係数に対応する値を一般にCT値といい、次式のような関係がある。

CT値=K(μ一μw)/μ、

 

ここで、μは間題とする組織の減弱係数、μ。は水の吸収係数、Kは定数である。Kの値に1OOOを用いると、CT値の範囲は±1000となりこれをHounsfie1d unit(H,U。)とよぶ。この範囲をすべて1画像中に表示しようとしてもコントラストが小さいためわずかな組織間の濃淡を表すことは不可能である。したがって任意の範囲のCT値の幅を選び、その範囲のCT値の中間値を設定することにより目的に応じた適切な濃淡像を表示することができる。この範囲をウインド幅(window width)、中間値をウインドレベル(window 1eve1)という。例えばウインド幅100、ウインドレベル30に設定した場合、一20以下は黒、80以上が白となり、CT値で一20〜80の範囲を最適コントラストで表示する。このような表示画像はウインド幅とウインドレベルの調整によって適正な条件で画像を観察することができる。

 

CT装置の構成

(system of CT equipmen1)

CT装置の基本構成としては、システム制御器、X線管とX線発生装置、検出器、コンピュータ(画像演算装置、システム制御)、デイスプレイ、画像データ補助記憶装置、画像データ外部記憶装置、レーザーイメージャなどである。最近の装置では螺旋CTの開発とコンピュータの進歩による高速化が進んでおり、それに合わせるようにX線管球の大容量化も進み、陽極最大熱容量が7.5MHUを越えるようなものが使用されている。X線検出器としてはNaI(T1)、過G0(Bi,Ge,O12)などのシンチレータと光電子増倍管の組み合わせたものや、高圧Xeガス電離箱、シンチレータと半導体光検出器の組み合わせたもの、さらに最近ではX線検出効率が90%以上というセラミックの個体シンチレータが開発されて使用されている。検出器からの出力信号はA/D変換され、コンピュータによって再構成処理などが行われる。その性能によって検査処理時間に大きな影響を与える。再構成データはCRTに表示されるとともに画像データ補助記憶装置である磁気ディスクに蓄えられる。また大量の画像を保管するには画像データ外部記憶装置が必要で光ディスクや光磁気ディスクが用いられる。またCT画像はレーザープリンタでフィルムに出力することができる。

 

 

 

 

 

画像再構成からみたアーチファクトの発生原因

 

lCT画像の再構成法について

 

今回はCTにおける画像再溝成法の原理を中心に故障時に要注意となる3つのアーチファクト(ストリーク、シャワー、リング)の発生原理との関係について述べていきます。まず実際にCTて“用いられている画像再構成法:

フイルター逆投影法(Filtered Back Projection)とはどんな方法なのでしょうか。ここでは現象を簡単化するために図一1の様に中心部にだけ高吸収体がある場合を想定し、単純な逆投影法から説明して行きます。まずは簡単に投影データが角度3(1〜4)の4方向について考えます。この場合の投影データは4方向共に全て同じになり、図一1の様に逆に投影しなおすと(単純にバックプロジェクションすると)図一1の模式図に示すように中心に物体が再現されます。しかし良く見ると原画像とは異なり周囲に星状のボケが生じる結果をなっています。このままでは再溝成法として不十分です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上の過程を数字で示してみます。まず簡索化さすために中心に1,000の値を持つ3x3の画素(ピクセル)上の物体を考えます。このとき他の値は全てゼロです。この場合に物体の4方向への投影データはそれぞれ図-2のうおうになります。この投影データを逆投影してみると(逆投影とは各ピクセル通る全ての投影データを重ね合わせ加算することです。)中心のピクセルを通る投影データは全て1,000となり、4方向の合計は4,000となります。このとき他のピクセノレのそれぞれの合計値は1,000となり、加算した回数に応じた1/4の係数を乗じてそろえてやると中心が1,000となり他は250となります。ここまでで一応、簡単ですが逆投影を行ったわけです。これをもとの原画像と上蹄交すると中心部は一致しますが、他のピクセルはゼロではなく一致しません。ここで分かることは単純逆投影では周囲にボケを伴った像として再溝成された画像となってしまうことです。

そこで次の工夫がなされました。現在、CTで使われているフイノルター逆投影法です。重畳積分法とも呼びます。それではフィルター逆投影(重畳積分)法について具体的に数値で説明して行きます。

単純逆投影法では角度データ:Xθを逆投影しましたが、重畳積釧去ではまず各投影データ:θにコンボリューション関数(これをHとする)を重畳積分してYθを求めるのです。このYθを逆投影して原画像の再構成を行います。ポイントはXθをYθに変えるところにあります。重畳積分の過程は下のような式で表せます。

 

=

Yθ(I)=ΣXθ(I−J)×H(J)…式(1)

J=∞

(ただしH(J):コンボリューション関数)

ここでYθ(0)とはθの角度からの投影データの0チャンネルめという意味です。ここでYθ(0)の場合を具体的に計算してみると、

j=2

Yθ(0)=ΣXθ(一J)×H(J)…式(2)

j=一2

=O×0+0×(一〇.125)十1000×0.25+O×(一〇.125)十〇x0

=250

j=2

Yθ(1):ΣXθ(1−J)×H(J)…式(3)

j=一2

=X3(3)×H(一2)十Xθ(2)×H(一1)十Xθ(1)xH(O)十Xク(O)×H(1)十X3(一1)×H(一1)

=O×O+OxO+O×0+1000x(一〇。125)十0×O

=一125

ここで以下省賂して同じよう計算するとYθ(2)はOとなります。

 

計算された全て(この場合は4方向)のYθを計算すると上のようになり、その値を逆投影すると巾心を通る投影データは250が4回で計1、000となります。縦と横のピクセルは(一125)と(0)になります。この結果は単純逆投影法に比べ原画像に近い像が再溝成されたことを表わしています。まだボケが残っていますがこれは投影方向とチャンネルデータが少ないためであり、投影方向を増し、チャンネノルデータを増やすこ乏で解決します。通常はこの投影方向の数は900回前後、0.4度ごとの角度で行われます。また受け取る検出器のチャンネル数は90p固以上です。マトリックス数は512×51跡呈度で分割され、各マトリックスごとに上記の計算過程に従ってX線吸収値が逆演算され、X線吸収値の高いものから順に白から黒の濃度差がつけられることでCRT上に白黒の濃淡画像が表示されるのです。脇道にそれますが注意しなければならなことがります。それはCT値がさまざまな要因で変動することです。実際には均」な吸収体であってもその形状や大きさ、骨などの周囲物質の有無によりX線吸収値:μが変化しCT値が変動する現象が生じます。この現象は実際の人体のCT岡像上では常に生じています。CT値の測定には十分な注意が必要なことを意味しています。

 

 

 

 

 

2−2アーチファクトとの関係

 

もう一度思い起こしてみます。故障を伴って発生するアーチファクトの代表的なものにシャワー、ストリーク、リング画像の3つがありました。これを逆投影法の立場から見てみると…まず特定のユチャンネルに対し1投影角度からのみに異常データが混入したと仮定します。現実にはノイズの混入などに起因することが多いようですが、前に説明した図2のように投影データ上での影響(または異常)は逆投影される仮定で異常データが混入した投影角度とチャンネル方向に対して線を引っ張ったような形で影響がのこります。これがストリーク画像の発生原因です。ストリーク画No−3像の見極めはそれが淡いか(アナログ的か)、強く(デジタル的か)表示されるかです。前者の場合は発生原困故障が特定の投影角度でかつ特定の1チャンネルに対してのみ起こることは考えにくくノイズの混入と判断しても差し支えありません。きっと次の画像では消えています。再現性はありません。間題は強く残るストリークの場合でかつ複数の投影角度で運続して発生する(ネコヒゲ状)場合です。図5に表したようにストリークが複数の角度に運続した場合には線分(ストリーク)が重なりネコヒゲ(別名:松の葉)状になります。強いと言うことは周囲のチャンネルに比ベカウント差が大きいことを意味し、単なる感度変化、出力変動ではないことを表しています。このような場合には故障が起きかけていると判断します。しばらくするとこのようなネコヒゲの多くがリング画像に発展して行きます。そろそろサービスマンに連絡をとる時期です。逆投影法で示したように特定チャンネルヘの連続した異常データの混入は同心円上に接線ストリークが重なることでソング画像となって最終的に残ります。リング画像が発生した場合の兄極めは同様に淡いアナログ的リングか、強く残るデジタル的リングかです。強いと言うことは要注意です。補正水データを再収集し直すだけでは回復しないかもしれません。シャワー画像も同様に考えられます。図2から4で示したように特定の投影角度から全てのチャンネノレのカウント数に影響を与えるような変動が発生すればその影響は逆投影された場合に異常データの発生源に集まるストリークの集合体(シャワー画像)となって画像上に表れます。もう一つシャワーで忘れてならないのはその扇の要となる位置です。ガントリーカバーに近いか遠いか、位置は常に一定か否かがポイントです。近くて発生位置が常に同じならばカバー、寝台などに付着した造影剤などの高吸収体からのシャワーが考えられます。バリッという音を伴って発生すると放電などが関係しているようです。以上、アーチファクトの発生原因と画像再溝成法の関係を理解していただけたでしょうか。それではここで少し気分をかえて最新のマノレチスライスCTの理論に入って行きます。

 

 

 

 

 

マルチスライスCTのピッチ4の秘密

2−3scandiagram(展開図)

 

 

答えに入る前にマルチスライスの再構成原理を理解するために用いられるscandiagramについて説明いたします。

 

マルチスライスCTのデータ収集方式を明解に理解するためにスキャンダイアグラム(展開図)と呼ばれる表示法が用いられています。まずシングノレヘリカルでそれを紹介します。図の左側は従来、見なれた三角関数による表示方法です。ヘリカルスキャン法におけるX線管の連統回転と寝台移動を直感的に理解するのに優れています。まず縦軸には振幅:π/2の範囲内でのX線管の位置(実はあまり明確に定義されていません。次元が有りそうで無いのです)が、横軸に体軸方向の位置(X線管の回転に伴う位相も意味しています。)を表したものです。この場合にデータの軌跡はA点からB点へと上下し(波打ち)ながら進んで行きます。則ち立体的にはX線管がたどった円筒状の軌跡を横から光りを当てから射影した形となります。この三角関数で表現する利点は縦軸がOからπ/2の範囲内で表現されているために反対側にある対向データが同じ並びで表現することができる点です。従来のシングルヘリカルの180度対向補間を説明するためには都合がいいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

(三角関数、展開図)

図の右はシングルヘリカルでのデータの軌跡を展開図で表現したものです。まず縦軸にX線管の回転角度を0から2π(360度)の範囲で表し、同様に横軸に体軸方向の位置を表しています。この場合にデータの軌跡はA点より斜に進む軌跡で表現され、X線管が1回転したところでまた出発点のB点に帰ります。則ちX線管の軌跡がたどった円筒状の軌跡を360度の位置でハサミを入れて開いた(展開した)構図となっているのです。ここがポイントです。重要なことは180度対向補間のデータの軌跡は三角波による表現法では実データの軌跡を180度反転した波形として表現します。求めたい角度データはそのまま横方向に線を引き、交わる実データと対向データまでの距離の大きさで重み付けを行ってその位置での角度データとします。しかし展開図上では対向データの軌跡は実データ間の間を埋めてゆくように表現されます(ただしシングルヘリカルの場合だけです。マルチスライスでは複数の検出券のデータが混在するためにピッチによって均等に並ばなくなってしまいます)。実際には対向データは180度の位置を境として実データに対してπ/2だけ先の、または後のデータとして存在しています。これを展開図上では約束ごととして実データと同じ縦軸の角度で体軸方向に対してπ/2に相当する距離だけ先の、または後のデータとして表現します。後は再構成したい位置での任意の角度に対して横方向に線を引き、交わる点までの距離で実データと対向データに対して重み付けをする点は同じです。マルチスライスCTで展開図を用いてデータの軌跡を表現することの第1の理由は4個の検出器による実データと対向データを含めた8本のヘソカル軌跡が重なって(混在する)くるからなのです。8本のデータを三角関数の波で表現する大変なことになります。第2には目的とするスライス位置と幅を指定すれば画像再溝成に使用されるデータ量が一目で分かることです。またビッチ(基本スライス厚に対するX線管1回転当たりの寝台移動量の比)の違いにより実データと対向データを含めたデータ量の違いと体軸方向に対する分布状態が良くわかります。また軌跡により画像再構成に用いられる線量もわかりその結果、画像ノイズも推測されます。下図はマルチスライスのピッチの遠いによる体軸方向に対するヘリカルデータ(実データと対向データ)を表したものです。ピッチの遠いにより対向データと実データが重なり、また隣り合うデ一タの軌跡の距離がばらつく様子がわかります。マルチスライスCTの再構成理論ではでは、この隣り合うヘリカル軌跡の体軸方向の距離を小さく、かつばらつきを少なくすることが重要なポイント(高密度サンプリンク技術)となるのです。ヘソカル軌跡が重ならないようにするにはピッチ4以下なら整数以外4以上ならば偶数以外となります。対向データ、実データの密度が高いビッチは2。,3。民4.5などです。また対向、実データの両方が均等に並んでいるのがビッチ3と6になります。重要なことはピッチ4では(:基本スライス厚の4倍の速度で寝台移動が行われる状態。シングルヘリカルのビッチ1に相当する。)では実データと対データの軌跡が重なってしまうのです。ピッチ4カ滞つ色々な物理的な画像樹生はこのヘリカル軌跡が重なるという点にあります。次回はデータが重なることによるSDと窄間空間分解能の変仏リサンプリング(体軸方向にばらつきのあるデータを小さく均等な間隔に置き換える処理)処理ついて詳しく説明いたします。

マルチスライスCTPitch2.5

マルチスライスCTPitch3

(Pitch2.5,Pitch3)

シングルスライスCTPitch1.0

マルチスライスCTPitch2.5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CT装置の動作不可能時間(ダウンタイム)について

 

CTの作動時間と非作動時間

 

前回までは装置に異常画像(アーチファクト)を伴って発生した故障に対してその原因と対策について述べてきました。今回は少し視点を変えて、故障に伴う動作不可能時間(ダウンタイム)について考えてみます。装置に故障が発生した場合に生じるダウンタイム:downtimeを短縮するにはまず装置全体に要求されている時間の分類を行うことが必要であることは以前に述べました。復習すると装置の全作動時間は大別して動作要求時間(up−time)と動作不可能時間(down−time)に別れます。次に要求時間内のダウンタイムは装置に故障が起きてから修理する事後保全時間と故障する前に点検し部品交換などを行う予防保全時間とに別れます。そこで今回は特に事後保全時間の構成内容に着目してみます。事後保全に要する時間を分類するとその構成は@故障連絡時間、

Aサービスマン到着待ち時間、

B故障箇所判定時間、

C部品補給時間(部品手配、補給待ち時間など)、

D実修復時間

などに別れます。

まず故障連絡時間とは装置に故障が発生した場合にユーザ側が最初にサービスマン側と連絡をとる時間です。この時間内にユーザ側で適切な処理(簡易的な故障箇所の判定、故障要因の推定など)が行え、サービス側と密な連絡がとれれば以後のダウンタイムを短縮することも可能です。故障箇所判定時間とはサービスマンが現場に到着し、治具、テストプログラムなどを用いて故障箇所を判定するまでの時間です。部品手配時間とは故障箇所が判定した後、補給部品交換が必要な場合にその手配を行いまた交換部品の到着を待つまでに要する時間です。実修復時間とは故障箇所の判定、部品交換、故障箇所修理、調整校正時間右よびテストスキャン時間などに要する時間です。

図一1はで画像再構成装置系、データ収集部系、X線発生装置系の3つのユニットに発生した代表的な故障例についてダウンタイムの分析を行ったものです。再構成装置系を例にとると故障発生から修理作業完了までに要した時間の内、実修復時間としての故障笛所判定、修復作業、調整校正に要した時間が約90分。それに対して部品手配、補給待ち、サービスマン到着待ち時間の合計が約7時間となっています。他の2つのユニットでも同様に待ち時間が実修復時間より長く、ダウンタイム全体の約2/3を占めています。それに対してデータ収集部の場合の故障列では交換、補給部品待ち時間がほとんどゼロとなっています。これはデータ収集部系ではテストプログラムを用いた故障判定法が進んでいること。故障モードが比較的に複雑でないこと。交換部品が現場で備蓄されていること。ユーザ側での故障箇所判定が行いやすいことなどに起因しています。これらの事例より待ち時間を短縮することがダウンタイムを短縮するための重要なポイントであることが分かります。そこでもし装置に故障が発生した場合にユーザ側でまず最初に簡易的な故障箇所の判定、故障メカニズム、故障モードの推定が行われ、次にサービスマン側との故障運絡が密に行われたならば、サービスマン到着までの時間内に故障部品の手配、配送などを事前に行うことも可能となります。すなわちダウンタイムの主たる構成要因の1つである『待ち時間』の一部を短縮させることが可能となることが推定できます。

 

 

図一1ユニット別故障例のダウンタイムの分析

 

3−2ユーザ側で行う事後保全方法とその意義

 

もう一度まとめるとユーザ側て等膿保全の一部を行うことの利点は次の2つにあります。

まず第1に故障発生後、ただちに簡易的な故障箇所と故障内容の判定を行うことでサービスマン側との故障連絡が蜜に行えること。その結果、サービス側が次の保全行為、すなわち部品手配、配送準備などを事前に行うことで補給待ち時間の一部を短縮することが可能なことです。

第2には待ち時間内において積極的な応急対策を行うことで待ち時間の一部をアップタイムにできることです。前回までの講議内容と重複しますが、まとめと復習の意味でユーザ側で行える事後保全の内容について述べて行きます。

@装置自身の機能を利用する故障箇所の判定法この方法は他の正常に動作しているユニットを利用し、故障箇所を判定して行く方法です。装置が故障を起こしても、それは一部であり他に正常に作動している機能を利用して故障内容を推定して行きます。

●ディスク内のスキャンデータを利用する方法:まずディスク内に残っている投影データを再度、再溝成させることから始めます。まず故障発生以前に正常に収集された投影データ(生データ)に対して再構成を行い、その結果を次の2つに分けます。(1)再溝成がNGなら;再構成系の異常と判定します。(2)正常に再構成が出来たならばデータ収集部までの異常と判定します。

●スキャノ画像を利用して行う判定法:

この方法はスキャノ画像より異常箇所が検出器系か、投影方向にあるかを判定する方法です。スキャノ画像は基本的に横方向に検出器のチャンネノレ位置が、縦方向にプロジェクション、すなわち投影位置が配列されて構成されています。

 

その結果、シャワー画像となる異常データの混入は横軸万向に、一方リング画像となるテヤンネル系の異常は縦軸方向に異常データが混人する結果となります。

 

 

 

 

 

図一2スキャノ画像を利用して行う判定法

 

A異常画像から見た故障箇所の判定法故障モード、故障メカニズムの違いにより異なった形状の異常画像が発生します。この内容については前回までに説明しましたのでここでは省略します。重要な点はストリークかリングかシャワー画像か。その本数は1本か多数か、またアナログ的かデジタル的なアーチファクトか否かと言う判定基準です。

B保守用テストプログラムを用いて行う故障箇所の判定法。

●サイノグラムを用いた方法;

サイノグラムとは収集したスキャンデータをチャンネル方向と投影(プロジェクション)方向に展開した保守用ソフトです。特にチャンネル系の場合にはその基板単位で故障箇所を限定することが可能です。また角度方向で異常データが混入した場合にはその角度を特定することが可能です。

●カウント値を用いた故障箇所の判定:積分回路、増幅器、カウンタから構成されるデータ収集部全体からの出力信号をデジタル値でモニタすることが可能な保守用ソフトです。またX線管からの出力値もモニタすることができます。万能ソフトです。

B番目の保守用ソフトを用いてユーザ側が事後保全行為の一部を行うことには異論反論があります。しかし時間的ゆとり存在する予防保全とは異なり、事後保全に時間的なゆとりは存在しません。予約検査数は山のように連なり、思者さんは検査台の上にいるわけです。代替え装置の無い施設ではよけいです。間題は複雑になるばかりです。このような場合にまず優先されるべきことは『いかに早く修復作業を完了し、元のスキャン可能な状態に戻せるか』ということです。このような状況にユーザ側とメーカー側との間での明確な保全方法の区別はありません。互いに保全枝術、保全方法、故障診断技術を共有しあいダウンタイムを短縮させなければならないと考えます。

 

3−3保全技術のレベル

 

ユーザ側て事後保全の一部を行うことの間題点は次の2つにあります。まず各施設間に右いてどのようなレベルの保全を行えるかの水準に差があること。第2に故障内容によっては則定器やテストプログラムを使用する場合があり、さらにシャーシやカバー類で備護された見えない箇所のどこまでを対象にするのかが間題となることです。

図一3はマニュアル化した事後保全内容の一部です。これらの間題点に対しては各施設の技術レベルに応じた事後保全内容を定めた上でサービス側が実施する定期点検作業に立ち会い、共同で作業を行いながら保全技術とその方法および内容について点検回数を重ねることに高めてゆくことが必要と考えます。大切なことは故障が発生した時にサービス側に連絡をとる前に15分間でかまいません。その故障がどのような状態の中にあるのか、その発生メカニズム、モードは何か、現場において実施可能な事後保全行為は何かを考えることがダウンタイム短縮のための近道です。

 

 

 

 

 

図一3事後保全マニュアル

ダウンタイムに関する地味なお話はここまでとします。

これより話題を変えてヘリカルCTの補間法に入ります。

まずはもっとも基本的なシングルヘリカルCTでの180度対向補間法です。ここから最新技術であるマルチスライスにおける高密度サンプソングと多点補間法、およびそれらによって引き起こされるマルチスライスCTの物理的な画像特性の変化につなげて行く予定です。

 

ヘリカルCTにおける補間法とは何か。

シングルヘリカルとマルチヘリカルCTで用いられる補間法どの間で違いがあるのか?

 

(注意:シングルスライスCTとは検出器が1列。マルチスライスCTとは検出器が4列の装置をさします)

 

■用語説明:1スライス分の収集データに対応するファン状X線ビームは体軸方向に厚みを持ちます。その厚みはX線焦点から検出器に向かって大きくなります。マルチスライスCTでは回転軸に右ける厚みを基本スライス厚、その厚みの中心をスライス位置と呼びます。基本スライス厚はX線ファンビームの厚みであり、再溝成したスライス画像における実効スライス厚とは異なります。また基本スライス厚に対するX線管1回転当たりの寝台移動量の比をビッチと呼びます。

 

展開図(scandiagram)

・シングルスライスCTにおけるHP(He1ical−Pitchの略)

スライス厚(=X線ビーム幅)に対する、寝台移動量(mm/rot。)

 

・マルチスライスCTにおけるHP(He1ica1−Pitchの略)

基本スライス厚(≠X線ビーム幅)に対する、寝台移動量(mm/rot。)

 

マルチスライスCTの用語説明

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3−4

180度対向補間法

 

図の5はシングルヘリカルCTのスキャン軌道の模式図です。この図において重要なことは『ヘリカルCTの軌跡はらせん状であること。そのために再構成したい位置(スライス位置、または寝台位置)を通る投影(角度)データは1点のみであり、他の角度の投影データはその前後の位置を通過したデータであることの』の2点です。CTの画像再構成では通常は、360度/1回転分1の投影データが使われます。仮に1回転の間に360方向の投影データを収集するとすると仮定すると、359個の投影データは目的とするスライス位置ではなく、その前後の位置を通った投影データになっていることを意味しています。

 

ヘリカルCTの軌跡はらせん状であるため再構成したい位置(寝台位置)を通る投影(角度)データは1点のみであり、他の角度の投影データはその前後の位置を通過したデータとなる。

 

図一5

シングルヘリカルCTのスキャン軌道の模式図

 

 

碁盤上、のマトリクス内で模擬した逆投影法を用いた画像再溝成理論を思い出して下さい。逆投賊去の基本は任意の1断面(または1点)に対して360度の異なる投影データが逆投影されて初めて正確な原画像が再現できます。ヘリカルCTのようにZ軸(体軸)方向の異なる位置から集めた投影データを逆投影した場合には、投影角度による影響が強く残る結果、X線管の回転周期に依存したアーチファクトが発生することが推則されます。実際においてもなんらかの補正処理が行われないまま再構成が行われると吸収値の違いが大きな部位である骨、空気などの境界領域からバンド状の線状アーチファクトが多く発生します。このヘリカルCT特有のアーチファクトをなくするために考案されたのが360度補間法と180度対向補間法です。この原理は目的とする角度データに対して360度補間法は2回転分のデータの中から同じ角度データを、180度対向補間法は180度反対方向から対向する角度データを探し出し、この2つの投影データを線形補間により平均化させる方法です。

 

 

 

内挿法と外挿法により1回転のデータの前後にファン角度分のデータを必要とする場合もあります。

 

3−5

シングルヘリカルCTで用いられる180度対向補間法

 

ここではシングルヘリカルCTで多く用いられている180度対向補間法を中心に説明して行きます。

図一6は180度対向補間法の模式図を示したものです。

図においてCT装置内のX線管がa(0度よりθだけ回転)の位置にある時を考えて下さい。X線管は右回りに回転しデータを収集して行きます。このとき回転中心ではその対向データはちょうど180度反対の位置にあります。対向データを探す時にはすぐにその位置が分かります。しかし回転中心からファン角度α2だけ離れたa−c(主ビームまたは実データと呼びます)方向の対向データc−aは[θ十(180+2α)だけ0度り右回りに回転したC点にX線管が来た時のファン角度(一α)の位置からの角度データとなります。この2つの角度データをスライス位置であるπ(180度)からの離れ具合(距離)に応じて重みを付けて足しあわせる(線形補間を行う)のです。この投影データが新しく角度θからのファン角度αに相当するチャンネル位置(i)のデータとするのです。たとえば下のような式となります。

 

P(i、=k・Pa(ia、a)十(1−k)・Pc(ic、c)

{P(i、):求める角度θでのi番目のチャンネルの投影データ

Pa(ia、a):角度θaでのia番目のチャンネノレルの投影データ

Pc(ic、c):角度θcでのic番目のチャンネルの投影データ

k:スライス中心/πからの離れ具合に応じた実データの重み係数

(1−k):スライス中心/πからの離れ具合に応じた対向データの重み係数

 

 

 

 

Pc(i、)=k・pa(ia、a)π十(1−k)・Pc(ic、c)(ただしKはスライス中心πからの距離の重み係数)

図一6

180度対向補問法の模式図

 

検出器の中央より角度αだけはなれたチャンネルの検出器データを意昧しています。すなわち回転中心では無く外周部を表しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図一7X線管の回転に伴う主ビームに対する対向データの位置

図一7はX線管が0から90度、90から180,180から270,270から360に回転した時の主ビーム(データ)に対する対向データの位置を表したものです。重要なことは対向データは主データに対して常にスライス位置(π)に対して、180±2αだけ先の位置(角度)にあるということです。ここがポイントです。重要なところです。忘れないで下さい。前回、故障対策編でふれたリング画像の生成原理に似ていませんか。対向データは常に回転中心からの同心円上を走っています。

 

図一8展開図上でのシングルヘリカルCTにおける主(実)データと180口対向データの位置関係(ただし回転中心です)と補間法

 

 

3−6

展開図からの補間法の説明

 

図一8は展開図上でシングルヘリカルCTにおける主(実)データと180対向データの位置関係(ただし回転中心です)を表したものです。復習すると展開図は縦軸にOから360度までの角度を横軸にZ軸(体軸)方向の距離を表したものです。シングルヘリカルCTでは実データの軌跡はX線管の回転に応じてAからC点に移動し、またCからE点に移動します。ここで収集した連続データよりH点の位置での画像を再構成する180度対向補間法を考えてみます。重要なことは再構成したい位置Hを中心に考えると180度の位置を境界として実(主)データCDの対向データは180進んだDEの位置にあることです(ピンと来ない読者は、前述の3−5の下線部を再度、呼んで下さい)。

展開図ではこのDEをCDと同じ0から180度の角度の位置に持ち上げてdfとして表現することにします。同様にDEの対向データは180度遅れたCDの位置にあります。同様に展開図上ではこのCDを180度から360度の位置に下ろしてcdとして表現することにします。これをすべての実データに対してくり返し描いて行きます。重要な点は図一5に示したように再構成したい位置を中心に考えると対向データとなる点は実データに対して±180度位置を常に並んで走るということです(ただしこれは回転中心のみで成り立つ関係です。回転中心より外側ではX線管のファン角度に相当する位置だけずれてきます)。

展開図上で180度対向補間法を図7の右に示すような270度の角度でのデータを例に説明します。再構成したいスライス位置:Hの270度のデータは実データAと対向データ@の2つがあります。重要なことはこの2つのデータをHからの離れ具合(距離)に応じて重み係数をかけて加算することで270度の位置のデータとすることです。例えば@のデータ量が60、そのHからの距離(角度)を2、Aのデータ量をlOO、そのHからの距離を3とした場合に、

270度のデータ量=[〔2/(2+3)〕×60+[〔3/(2+3)×100(2)式

距離の重み 対向データ量 重み 実データ量

として表現されます。(2)式をすべての角度、チャンネルに対してくり返してゆくことでH点を再溝成するために必要な360度方向kらの投影データを得るのです。後は逆投影を行うだけです。

 

 

図一9

マルチスライスCTでのピッチ3.5のスキャン条件下での実(主)データと対向データの関係

 

3−7

マルチスライスCTでの展開

 

図一9はマルチスライスCTでのピッチ3.5のスキャン条件下での実(主)データと対向データの関係を表したものです。対向データの描き方は3−6で述べた方法で地道に根気よく各実データに対して1本ことに描いて行きます。一度は頑張って描いて見て下さい。ここでポイントは4つのエレメントの実データの間にはそれぞれエレメントの異なる対向データが入ってくることです。このような状況下ではどのエレメントの実データがどの対向データなのか区別がつきません。また実データと対向データが常に均等にかつ密に並ぶとは限りません。マルチスライスCTの場合はピッチによってこの実データと対向データの間隔と密度が違ってくるのです(ピンと来ない方は前回までのマルチスライスCTの展開図を見直して下さい)。この実データと対向データの軌跡を均等に並べ直すためにリサンプリング技術が用いられています。リサンプリングとは画像スライス厚内のデータをあらかじめ定めた均等な間隔(メー力側の秘密)に分け、各点でのデータ量を最も近くにある実データと対向データより線形補間により求める方法です。このときも距離による重み付けを行います。一言で分かり難く説明すると高密度サンプリング(ピッチを変える)によって得られた4つのエレメントからの4本の実データの軌跡と4本の対向データの軌跡を体軸方向に小さく、かつ均等な間隔で隣り合うように並べ直すのです。これを模式図で示したものが図一10です。いいかえればマルチスライスCTでは1回転により4本の実データとそれに伴う4本の対向データが存在します。これが寝台移動スピードに伴なってデータの列びに疎密を生じさせます。この疎密は体軸方向の空間分解能がスライス面内で不均一にしたり、ストリーク状のアーチファクトを発生させる原因となります。この影響を少なくするためにリサンプリングを行いデータを均等に並べ直すのです。具体的にはスライス厚内をN個の点に均等にわけるとした場合にN1番目のデータはその最も近くにある前後の2個のデータ(タデータか対向デ-タであるかは間いません)を用いてN1からの離れ具合(距離)に応じた重みをかけた線形補間を行うことで求めるのです。この計算方法は180度対向補間と同じです。異なる点はビッチによっては求めようとする角度に4つのエレメント分の実データと対向データが不均等な間隔で並んでいること。実データと対向データの区別がなく最も近くのデータを計算に使用することです(シングルスライスCTでは必ず実データと対向データがペアで使われます。思い出して下さい)。スライス厚内の任意の角度でこのように多くのデータが平均化されて用いられる(シングルスライスCTでは実デー身と対向データの一組だけ)ために両像ノイズはシングルヘリカルに比べて格段によくなります。こうして均等に並べられたデータが体軸方向にフイルター処理された後、再構成に用いられます。

 

体軸方向に対する検出器の列をエレメント(8から64列)と呼ぶ、マルチスライスCTは従来のチャンネル数×エレメント数の2次元的な検出器配列跡が重なる場合も出てきます。ピッチ4の場合がそうです。ピッチ4の展開図を思い出して下さい。忘れた方は是非、ビッチ4の展開図を描いて下さい。ピッチ4のようにビッチが整数のときは疎密は発生せず、したがってリサンプリングの必要性はありません。しかし対向データを有効に利用することができないなどの欠点が生じます。これは分解能に大きな影響を及ぼす結果となります。または実データと対向データが非常に近い位置にあることは他のビッチに比べて、データを使う量が多くなるということを意味します。これはリサンプリング時に1つのデータを作るとき重なった4つのデータを使用してN点のうちの1点をつくるからです。またN点の内、最も外側の2点は線形補間の過程でスライス厚より外側のデータ点を補間に使います。このために半値幅が広くなります。これらの結果、ビッチ4ではSD(ノイズ特性)が良くなりますが、空間分機能は低下するという物理的な画像特性を持っています。

新しく出てくる体軸フイルタ処理で用いられるフイルタ形状とはどのような役割をはたすのでしょうか。いよいよマルチヘリカルCTの物理的な画像特性、空間分解能、ノイズ特性、コントラスト分解能に追って行きます。

 

第4章造影剤の血行動態と注入法※(1)

 

4−1造影剤の血行動態と注入法

 

造影CT検査では末梢の肘静脈より自動注入器を用いて造影剤を急速注入して行います。このスキャン法はCT検査の基本であり検査を行うに当たって各臓券の血行動態を知っておくことは重要なことです。

まず静脈内に2・3m1/秒の速度で急速注入(ボーラス・インジェクション:bo1us injection)された造影剤は体内で3つの相を経て最終的に腎臓(1・2%が胆道)から排出されます。図一1は肝細胞癌における急速注入法(注入条件:120m1/3m140s−start)での病変部の染まりを示したものです。動脈相において濃染された病変部は静脈相に移るに従い低濃度域となり、逆に門脈からの環流により正常肝が染まって行きます。

 

図一2と3は同病変における病巣部と正常肝、および腹部大動脈のタイムタイムデンシティカーブとその模式図を示したものです。すなわち急速に注入された造影剤は主として動脈内を流れる動脈相が注入開始後約60秒間みられ、統いて静脈、門脈などが描出される静脈相が2分前後ぐ、ついで血管も臓器も同−の濃度となる平衡相となります。臓器における血行動態はこの3つの相が基本となります。当施設では肝胆膵の初診の検査ではこのフルコース(単純、early,late象の三相)を基本としています。肝臓には単純、早期動脈相、動脈相、門脈相、静脈相、平行相など5つの撮影パタ−ンの方法がある。

 

 

図一1挿入急速静注における肝がんの染まりの変化

 

造影CTにおける早期相は最も重要な時相ですが、また5・10分後にとる晩期相も病変の存在診断(早期の肝癌など)および鑑別診断を行なううえで重要となります。同様に単純CTは何も修飾が加わっていない状態での基本像であり、初診の患者においては石灰化巣や出血、そして肝臓ではlipiodol(リピオドール)の腫瘍内停滞の有無、血流分布の変化などをみるために重要な情報源となります。通常、豊富な新生血管を有する腫瘍(肝細胞癌、腺腫など)は動脈相でよく濃染(ear1yenhance−ment)され、5・10分後の平衡相て低濃度域として描出されます。一方、腫瘍の内部の繊維組織がみられる腺癌などでは造影CTの動脈相て腫瘍の辺縁部のみが染まり平衡相になると腫瘍の内部に淡い造影剤のたまり(delay−edenhancement)を認めることがあり、鑑別診断上の重要な所見です。これは血管の少ない繊維組織の中に造影剤が一度拡敵すると、上撤的長時間にわたって造影剤がそこに停滞するためであり、繊維成分を多く有する病変部にみられ形態です。

 

図一2挿入肝がんにおけるタイムデンシティカーブの一例

肝門部でのTimedensitycuv

図一3挿入タイムデンシティカーブの模式図

 

4−2肝の解剖

 

肝の区域診断肝の各区域を支配しているのは動脈門脈ぐあり、その区域間を肝静脈が走行しています。門脈は動脈、胆管にくらべ破格がすくないため門脈を中心とした肝の8つの亜区域分類が行われて、この門脈による亜区域の境界を肝静脈が本幹が走りCTによる区域診断の目安となっています。肝臓の区域、走行血管をしることはCT検査のみならず血管撮影、超音波検査などにおいても不可欠な知識となります。肝静脈からみた肝区域右葉と左葉との境界は胆嚢窩と下大静脈を結んだCant1ie線で、中肝静脈がこれに沿って走行し、また右肝静脈本幹が右葉前区域と後区域の間を走り、さらに左肝静脈は本幹からすぐに外側枝と内側枝に分岐します。州則枝は左葉州則上区域(S2)と州則下亜区域(S3)の間を走り、内側枝よ肝鎌状切痕に向かって走行しています。すなわち有肝静脈の背側が右後区域、右と中肝静脈の間が右前区域、中と左肝静脈内側枝の間が左葉内側区(S4)、左肝静脈内側枝と州則枝の間が外則下亜区域、外側枝の背側が州則上亜区域となります。

-4 肝静脈からみた肝区域の分類※(2)

図一5門脈からみた肝区域の分類※

 

(2)門脈からみた肝区域

 

門脈に着目すると門脈本幹が左右門脈に分岐し、右門脈本幹が右方に走った後、後区域枝をす。後区域枝はP一ポイントと呼ばれ、前後区域枝はそれぞれ前上亜区域(P8)(P5)、後上亜区域枝(P7)、後下亜区域枝(P6)に分かれます。S8とS5まS7とS6の境界を決定する構造物はなく、その境界は不明瞭です。左門脈本幹は左葉外側上枝(P2)を分岐した後、肝円索裂を腹側に向かって走行し、その後、左方に左葉外側下枝(P3)が、右側に左葉内側枝(P4)が分岐します。尾状葉は(S1)下静脈を取り囲んでいる部分です。

CTにおいて区域診断を行うときは門脈、肝静脈系に造影剤が流入している中間相(intermediate)でスキャンを行うとわかりやすく、早期相ではまだ肝静脈に造影剤が流入していないためりに、低吸収域となり判別しにくくなります。

4-3肝癌について

 

肝細胞癌hepatoce11u1arcarcinoma

は肝原発の悪性腫瘍の中で、最も頻度の高いものでC型、B型の慢性肝炎や肝硬変に合併する頻度が高く、被膜を持つような典型例では容易に診断がつきますが、被膜のないもの繊維組織が豊富なもの、脂肪成分を多く含むもの、血流に乏しいものでは診断の難しくなります。当施設て行われている 肝臓のスキャン条件の概要は図一6に示すようであり、その注意事項として

○初診の場合

単純→動脈相→平衡相の順に検査を行う。

 

○注射針は原則として19ゲージ、留置針を用いる。

 

○平衡相は3分後とする。

 

○造影剤はl20mLを3mL/秒で注入し40Sスタ−ト基本とする。

 

○経過症例の効果判定は初回のみ単純CT→動脈相→平衡相の3相とし、2回目以降は動脈相のみでも可。

 

○TAE.PEI後は動脈相平衡相を基本とする。TAE1ヶ月後は単純CTが必要とする。

 

(ポイント)肝細胞癌は主腫瘍から連続して門脈や肝静脈内に腫瘍栓を形成して発育進展する特徴がある。特に門脈腫瘍栓があると動脈一門脈短絡や肝内転移を伴うことがおおい。腫瘍部の門脈内浸潤などが想定される場合は中間相でのスキャンを行う。

 

 

 

 

 

 

 

スキャン方法

ヘリカル法CT(HCCの検査)

管電圧、管電流、時間

X線ビ−ム幅

寝台移動速度

造影剤濃度

造影方法

造影剤量

注入速度

スキャン開始時間

ヘリカル補間間隔

120kvp、250mA,0.5Sec

6mmSW

6mm

300mgl/ml

ボ−ラス注入

80ml- 120ml

3ml/sec

注入開始後34-40秒後

2mm間隔

肝細胞癌は単純CTで低吸収域、造影早期で高吸収域、晩期相で低吸収域を示す。1cm以下の小さな病変では、単純で等吸収域、早期相で染まるが、晩期相では等吸収域となるものが多い。LOW-HIGH-LOW

WIND SAVEの条件、 コントラスト分解能が重要な診断ポイントとなるためにウンインド幅は狭く350-400設定する。目安は腹腔内の脂肪繊維がとぶ程度とする。

 

図一6国立がんセンターにおける肝腫瘍の検索を目的としたスキャン条件

       スキャン方式ヘリカル法

 

 

4−4転移性肝癌の場合。

 

動脈性に転移するものとして乳癌、肺癌、甲状腺、喉頭癌などがあります。一方、門脈性に転移するものとして胃癌、小腸癌、大腸癌、膵癌などがあります。転移性肝癌の性状は多種多様で中心壊死は胃癌や大腸癌の大きな転移巣に、石灰化は大腸癌にしばしばみられます。一般に転移性肝癌は単純CTて低濃度域を、平衡相で低濃度やperiphera1 low densityを示す。後者は5分以降の平衡相で腫瘍の辺縁にみら仏中心に壊死巣を有し繊維性の間質に冨む腫瘍に多くみられます。スキャン条件は転移性肝癌を対象とする場含は肝硬変の有無にかかわらず造影剤量を100mL、注入速度を2mL/秒とし、70秒スタートを基本とする。共に十分に肝静脈が描出去れてるタイミングでスキャンを行うことが重要となります。

 

(1)引用文献:肝阻、膵、脾CT&MRIによるの画像診断。高安賢一、村松幸男、若尾文彦著。日本アクセノレシュプソンガー出版。

(2)出典:肝臓の画像診断。高安賢一著。文光堂。

 

マルチスライスCTにおける体軸フイルタ補間について教えて下さい。

フイルタ形状と何なのですか?

 

「前回までにマルチスライス」

CTのピッチ4の秘密に至るまでの言舌をしてきました。ここ、ぐでもうー度今までの内容を復習しながらフイルタ形状へと進んで行きます。ここから21が大事です。

 

図7,8はマルチスライスCTのピッチと画像ノイズおよびスライス感度プロフィール(SectionSensitivity L11Multiヨ∬司455556Sing1e(0.75)(1,0)(1.25)(1.5)Helical−Pitch【mm/rot。】

 

図7シングルスライスCTとマルチスライスCTのFWHM

 

Profi1ersZ−direction

 

:SSPz)をシングノレヘりカルCTとの比較で示したものです。SSPzの半値幅はシングノレスライスCT(X−Vigor)では寝台移動速度すなわちピッチに比比例して大きくなります。これとは逆にマノレチスライスCTではピッチ4で特異的に大きくなることが分かります。また同様にシングルスライスCTでは画像ノイズはビッチに

He1ical−Pitch【mm/rot。】

 

 

 

 

図8シングルスライスCTとマルチスライスCTの画像ノイズ

 

依存しませんが、マルチスライスではビッチ4で良好な値を示します。この画像特性は何に起因しているのでしょうか。この特徴を展開図を道具として1枚の画像を再構成するために必要な榊由方向に対するデータ収集範囲で考えてみることにします。まずノンヘリカル(通常)CTでは一画像を再構成するために必要な体軸方向でのデータ域(またはデータ収集領域)はX線ビーム幅に等しいと考えて間題ありません。X線ビーム幅が2oならば1画像は2oの幅となり、そのSSPの形状は矩形です。それに対しシングノレスライスCTでは一画像を再構成するために必要な体軸方向のデータ収集領域は画像中心においてピッチ1,180対向補間法を用いた場合にはX線ビーム幅十寝台移動速度が必要となります。すなわちX線ビーム幅が2o、寝台移動速度が2mm/秒(1回転1秒)とした場合には(2o十2o十)二4.0oとなります。すなわち寝台移動量だけSSPzの裾野が広がり矩形形状は崩れて山形の形状となります。これはピッチが大きくなるほどSSPzの半値幅は大きくなり実効スライス厚が広がることを意味しています。それではマルチヘリカルCTではどうなるでしょうか。マルチヘリカルCTは体軸方向に4列の検出器をもっています。そのために1回転中での投影データの軌跡、すなわち対向データを合めたへりカル軌跡は展開図で表わすとピヅチに応じ重なりが生じ不均等な間隔で並びます。これを補正するためにリサンプリング(多点補間)が行われます。重要なことはリサンプリングが行われる時に一番州則にあるデータ点はスライス幅を超えて、近くにあるデータ点を探しに行くことです。これは各投影角度ごとに異なりますがシングルヘ

Pitch4,06mm

 

図9シングルスライスCTとマルチス

 

リカルCTの約1.5倍の6o前後にデータ収集範囲は広がります。結果的に全ての角度のデータ収集範囲が加算されてSSPzの裾野の広がりとなるわけですから(図一9参照)。結果として1枚の画像を再構成するための投影データ量とその範囲が異なることになり結果として半値幅は広がり、空間分解能は低下します、逆に画像ノイズは6mm幅のデータ収集領域のデータを使用するために良好となるのです。これがピッチ4に特徴的な物理的な画像特性です。

すこし前に進んで行きます。まず図10、11を見て下さい。

マルチスライスCTのピッチ3.5(ピッチ4でないところがおちです。高密度サンプリングを目的とした整数以外のピッチです)での実データと対向データの両方の軌跡を展開図で表したものです。図では270角度データを例に取っています。思い出して下さい。マルチスライスCTの再溝成理諭の重要な特徴の1つにリサンプリング技術がありました。実際のスライス幅を意昧する再構成範囲内には実データと投影データが不均等な間隔で存在しています。これをN点の個数の均等な間隔のデータにし直す技術がリサンプリングでしたね。仮に270の角度データでの再構成範囲内に存在する実データと対向データの数を5点とします。この5点のデー列二は被写体の透過経路長に沿ったカウントデータ値が入っています。リサンプソング技術はこの不均等に並ぶを5点のデータを仮にN点の均等な間隔のデータとして線形補間法を用いて作り直して行くことです。線形補間法は前回説明しましたね。求めたい点の値をその点までの距離に応じた重み付けを行った前後の2点のデータを利用し求める方法です。それでは実際に数値データを挿入しながらマルチスライスCTで用いられる体軸フイルタを説明して行きます。まず仮に得られた5点のデータをZ(1)からZ(n)までのN=9点でリサンプリングしたとします。この9点のデータを

 

 

図10体軸フィルタ補間について

 

 

 

 

Oフイルター形状(重み)を計算式(相加相乗平均)かけるnΣ。

{Z(i)Xf(i)}1≡1データ量=nf(i)00.40.80.91.0.O.80.40フイルタ形状(重み)フイルタのΣ[Z(i)Xf(1)]わi昌1!2・O虞の位脳データ綿成る・冨50×0+70XO.4+60×0.8+40×0,9+60×1+50xO.9+50XO.8+80×0.4+90×0図11Z(1)=5仏Z(2)=7仏Z(3)=6仏Z(4)=4仏Z(5)=6仏Z(6)=5仏Z(7)=5仏Z(8)=80,Z(9)=9αユ)。ここで説明の便宜上、最もカウント値の大きなZ(9)=90を1として全体を正規化しておきます(理由は実際のカウント値は数百から数百万の幅がありグラフ上で表現すると面倒なため)。一応、正規化を行うと下記のようになります。Z(1)二〇。5氏Z(2);0.7&Z(3)=0,6ムZ(4)=0.4ムZ(5)=0.6ムZ(6)二0.5αZ(7)=0.5氏Z(8)=0.8ユZ(9)=1.0A。次に得られたデータに対してフイノレタ形状(F)の重みを掛けて行きます。現在はこのフイノレタ形状は全て矩形、つまりZ(1)・Z(9)まで加算して9で割っただけの処理ですカ、正規分布関数のような凸型の形状を持つもの、その他凹型なども提案されています。仮に正規分布関数に似た凸型の関数を定義したとすると、各Z(1)からZ(9)までのデータに対してこの関数の形状に比例した重みを掛けて加算して行くことになります。仮に関数の形を(0.0)、(0.4)、(0.8)、(O.9)、(1.O)、(O.9)、(O.8)、(0.4)、(0.O)風の山形の形状とします。Bのフイルタ形状をAの各データ点に対して掛けて行くと、Z(1)×0.0=O,Z(2)×0.4=0,31,Z(3)×0.8:0.54,Z(4)x0.9=0.40,Z(5)×1.0=0.6ムZ(6)xO.90:O.50,Z(7)×0.8二0.4民Z(8)×0.4二〇。36,Z(9)×0,O二0Cとなりその合計は3.2となります。最後にこの値をフイルタ関数の面積=5.2で割ることで(3.2÷5.2=O.6)となります。ここでなぜフイルター面積で割らなければならないのでしょうか。重要な箇所です。考えてみましよう。まず常に水ファントムのような均一な物質をスキャンした場合を考えてみます。検出審の1つ1つに入るカウント値は理想的には全て同一になるはずです(実際にはノイズ等の影響を受けますが)。仮にその値を100カウントの入力があったとします。図一10の6個のデータを思い出してください。このときリサンプリング処理が行われた後の9個のデータも全て100となります。このとき再溝成したいスライス幅をFW(Fi1terWidth)とすると27ぴでの投影データは最終向勺に1個として取り扱かわれます。すなわち(100+100+100+100+100+100+100+100+100+100)÷9=10α6)となります。これは体軸フイルタの立場から見ると全てのデータを均等に用いる矩形フイルタの場合です。ここで先程の使用した正規分布形状の凸型のフイルタ形状の場合に戻ります。270の角度の投影データは均一な物質ですから100でなければなりません。しかしフイルタの形状の重みから(100×0.+100×O.4+100×0.8+100×0.9+100×1.0+100x0.9+100×0.8+100×O.4+100xO.0)二520Dとなってしまいます。本当は100ですから、100二520÷5,2となり、5,2という数字が出て来ます。ここが重要な所です。この5.2がフイルタの面積(0+0,4+……十〇。4+O)二5.2なのです。難しくなりましたが、フイルタの面積でわって揃えるという処理が必要となるのです。もうお分かりですね。E式の9は矩形(長方形)の面積なのです。もとにもどって正規化された値を元の量に返して、270の角度での投影データ量が得られるたことになります。まえにも述べたように実際の装置ではカウントデータの正規化は行われていません。実際のカウントデータは数百から数百万カウントの範囲に広がります。ここで正規化したのはフイルタとの関係を理解し易くするためです。以上の処理により270の角度データが求められました。復習すると不均等に並んだ実データと対向データを予め定めた個数と位置にリサンプリングし直し、次に各データ点のデータ量に対して体軸フイルタ関数による重みを掛けることで補正を行い、スライス厚と空間分解能を制御して行きます。これを全ての投影角度で繰り返し、その値を逆投影することで原画像を求めて行くのです。ここまでがマルチスライスCTの画像再構成に特徴的なリサンプリングと体軸フイルタ処理です。

 

 

 

 

 

 

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