教室概要   

ご挨拶

                                                                              松本 俊夫

 平成24 年は、鳴り物入りで誕生した民主党政権の政策担当能力への疑問が噴出すると共に、政党としての体を失ったかの如き多数議員の離脱に加え、参議院与野党逆転などにより追い詰められ、解散総選挙による安倍自民党の地滑り的圧勝に終わった1年でした。替わって登場した安倍政権は、デフレからの脱却を目指すアベノミクスへの共鳴を得て、円安と株価上昇に沸き返ることとなりました。実体経済の景気回復はこれからと思いますが、一日も早い被災地の復興と共に、わが国の再活性化を祈りたいと思います。

 私が平成8年に第一内科学教室に赴任して以来、平成24年は17年目となります。この間、後半の約10年間は、診療科再編成による内科縦割り化、これと平行した小診療科の独立による内科細分化が進んだほか、厚労省の医師再配置政策を背景とした卒後初期臨床研修の必修化と大学中心の教育施設から大都市圏の市中病院への初期・後期研修医の大量移動、これに伴う地方での医師激減とこれへの対応と称する医学科定員の大幅増員や地域枠創成、人口減少の中での入学定員大幅増から当然予想された下位10数%の学生の著明な学力・向学心の低下等々、私共が強く批判し続けてきた施策がことごとく遂行された結果、幾多の問題が噴出しつつあります。内科全般を診療できる医師の不在、教育施設や大学院を敬遠し自らの希望のみで選ぶ病院での研修による卒後生涯教育の崩壊と基礎医学への理解の欠如、狭い専門性と技術の枠内での専門医取得のみを目指した安易な目標設定、等々の由々しき現状を見るにつけ、将来の医学教育を担う人材の育成などに対する強い不安を感じざるを得ません。

 この中にあって、当科は引き続き広い視野を持った内科医の育成に努めると共に、血液内科、内分泌代謝内科、糖尿病科、老年病科の各専門医の認定指導施設として専門医・指導医の育成を進めていきたいと思います。平成25年度には、内分泌代謝内科、血液内科ともに新たな教室員を迎え、少しずつ若い息吹を取り入れ前進を続けています。診療面では、内分泌代謝内科・病棟医長として活躍頂いていた吉田守美子助教が学術振興会「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」によりボストン大学に留学し休職しました。これに伴い、平成251月より近藤剛史先生が内分泌代謝内科病棟医長・助教となり、精力的な病棟運営により稼働率の大幅上昇が続いています。また糖尿病臨床・研究開発センターの松久宗英教授・黒田暁生助教には引き続き病棟・外来診療および卒前・卒後教育に全面的にご協力頂き、先進的糖尿病診療が定着しつつあります。診療や教育活動に追われる中で、研究面においても少しずつではありますが着実に成果が上がりつつあります。これら研究活動の更なる深化を図りつつ、基礎医学の進歩を臨床医学へと応用でき、臨床医学の課題を基礎研究へと反映できるような、研究マインドを持ち将来の医学・医療の進歩を担える指導的な臨床医の育成に引き続き努めたいと思います。

 現在なお、教室運営は厳しい状況が続いてはいますが、血液内科長・病院教授の安倍正博先生、教室総務・教育主任として八面六臂の活躍をして頂いている遠藤逸朗講師、内分泌代謝内科・副科長兼外来医長の粟飯原賢一講師、血液内科・病棟医長の賀川久美子助教と内分泌代謝内科・病棟医長の近藤剛史助教らを中心として、少数ながら精鋭が揃った指導体制により最高レベルの診療・教育の提供が維持されているものと自負しています。またこの様な中にあって、継続した教室運営、研究費管理などに欠かせない数多くの事務案件を的確かつ迅速に処理頂いている事務の美馬美香さん武市弘実さんをはじめ、信頼性の高い実験データの源となる研究基盤を堅固に支えて頂いている研究助手の皆様のご尽力があってこそ、効率の高い教室運営が可能となっているものと心より感謝しています。私の任期は平成25年度の1年を残すのみとなりましたが、力を合わせ一緒にご尽力頂いた皆さんとこの1年間も仕事が出来たことを感謝し誇りに思いつつ、今後も引き続き最後まで診療・教育・研究活動の発展に全力を尽くしたいと思います。

 同門会や関連病院の諸先生、並びに研究指導や共同研究等でお世話になっています多くの先生には、今後ともなお一層の御支援および御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

                                        平成25年5月