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循環器内科が担当する病気について

狭心症

狭心症は心臓を養う冠動脈の動脈硬化性病変により血行障害が生じ、心臓に十分な酸素が行き渡らなくなって特有な胸痛(締め付けられるような痛み)が生じる病気です。
血管の内径が正常の25%以下になると運動した際に胸の痛みが生じるようになります。その病態によりいくつかの種類の狭心縮性症があります。

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1) 動脈硬化性(労作性)狭心症
安静時には無症状ながら階段昇降や坂道歩行など心臓に負荷がかかったときにそれに見合うだけの十分な酸素が行き渡らず胸痛が生じる狭心症で、運動負荷心電図や24時間ホルター心電図、薬物負荷心エコー、薬物負荷心筋シンチグラフィーなどで診断し、最終的には冠動脈造影にて動脈硬化巣の部位診断・重症度診断を行って治療方針を決定します。

2) 冠攣(安静時)狭心症
冠動脈に痙攣が生じるために胸痛が生じる狭心症で、発作は夜間から明け方に多く運動とは無関係に生じます。日本人に多いとされています。冠動脈造影を行い冠動脈の痙攣を薬物(アセチルコリンなど)によって誘発して診断を確定します。治療は薬物治療が適応となります。寒さの刺激や喫煙が発作を誘発することも多いといわれています。

3) 不安定狭心症
症状が不安定な狭心症(狭心痛の頻度や痛みの強さが増強して来たり、より軽い労作で起こるようになったり、症状を軽減するためのニトロ頓服薬の使用量が増えるような状態)で、高率に心筋梗塞に移行するとされます。直ちに入院をして安静の上、適切なタイミングで治療をする必要があります。

急性心筋梗塞

狭心症からさらに病気が進み血管が完全に詰まってしまうと、心臓の一部の領域への酸素の供給が全く無くなり、その部分の心筋の壊死(えし)を来たす病態です。致死的不整脈、心不全、心破裂など致命的な事故にもつながります。緊急カテーテル手術による急性期再灌流療法が普及した現在においても、入院後死亡率は約10%と報告される重篤な疾患です。

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不整脈

心臓は,成人の場合1分間に約70回、1日に約10万回一定のリズムで規則正しく拍動します。このリズムが崩れた状態が不整脈です。不整脈が起こると動悸を感じたり、脈が途切れたり遅くなったりします。中には失神発作を引き起こすものもあります。不整脈が起きた時の拍動(脈)は、遅いものか、速いものかによって大きく2種類に分けられます。
遅いものは、1分間の拍動数(脈)が50回以下の不整脈で、徐脈性不整脈と呼びます。主な原因は刺激伝導系(心臓を拍動させるための電気的な興奮刺激の流れ)の機能低下によるもので、重篤な場合心臓ペースメーカにより人工的に心臓への電気的興奮刺激を補う治療法が行われます。
一方速いものは、1分間の拍動数(脈)100回以上の不整脈で、頻脈性不整脈と呼びます。電気的興奮刺激の道(伝導路)に余分な興奮刺激の発生源が出来ること、正常な電気的興奮刺激の道(伝導路)以外に先天的に余分な通り道(副伝導路)が存在することが原因となります。もととなる発生源や副伝導路を直接的に焼灼するカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)治療の対象となる不整脈です。

1)心房細動について
心房細動とは、心臓が正常に拍動しない不整脈の一種です。心房といわれる心臓の上の部屋が小刻みに震え、とても速くかつ不規則に収縮するために起こる不整脈です。この時、心房は1分間に約400~600回の速さで無秩序に興奮します。心房で発生したこの電気信号は、不規則なまま何割かが房室結節を通って心室に伝わるため、心室での興奮も1分間に60~200回程度の不規則なものとなります。その結果、心房細動が起こると、どきどき(動悸)したり、めまいや脱力感、胸の不快感を感じたり、呼吸しにくい感じがしたりすることもありますが、自覚症状のない方もたくさんいらっしゃいます。心房細動それ自体は死に至るような不整脈ではありませんが、心房の中に血栓(血のかたまり)が出来やすくなるために脳梗塞になったり、心房細動によって心拍出量(心臓が血液を送り出す力)が低下し、頻脈が持続して心筋が障害され、心不全にいたる場合があります。

心房細動は、時々発作がおこる(心房細動が出現する)「発作性心房細動」と、心房細動の状態がずっと続く「持続性(慢性)心房細動」に分けられます。また、心房細動は高齢者に多く発症するので一種の老化現象によるものと考えられます。心房細動になる割合は40歳台では1%程度ですが、70~80歳以上になると、5~10%と上昇します。心房細動の治療は原因となる病気がある場合はそちらの治療をまず行います。原因となる病気としては、弁膜症や心不全などの心臓病、糖尿病、高血圧、甲状腺機能亢進症などがあげられます。病気ではないものの、精神的ストレス、睡眠不足、疲労、過度のアルコール摂取なども心房細動の誘因になることが知られていますので、心当たりのある人は日常生活上注意する必要があります。

基本的な治療方針としては「心房細動自体の治療である洞調律維持治療と心拍数調整治療」と「血栓塞栓症の予防」があります。「洞調律維持治療」とは正常な脈にもどす治療のことで、抗不整脈薬による薬理学的除細動と電気ショックにより電気的除細動があります。いずれの場合にも、再発予防のために抗不整脈薬をお継続して服用してもらいます。「心拍数調整治療」というのは、心房細動は続いたまま正常の心拍数に近づける治療のことで、一般的には薬を使用して心拍数を遅くします。「血栓塞栓症」の予防としては、血を固まりにくくするための薬である抗凝固薬の内服を行います。これは、心房細動では心房内で血液がよどんでしまうため血栓ができやすい状態になるからです。実際、心房内にできた血栓は左心房から脳へ運ばれ、心原性脳梗塞を引き起こす可能性があり、心房細動による脳梗塞の発生率は年間4~5%といわれています。

最近、前述の「洞調律維持治療」を薬や電気ショックで行うのではなく、根本的に治療しようという方法が提唱されています。これは、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)という手法によるもので、心臓に入れた細い管(カテーテル)の先から高周波を流して、異常な電気の発生源や回路を焼き切って不整脈を出なくする治療法です。ただし、心房細動のアブレーションは他の不整脈のアブレーション治療とは異なり、その方法が確立されているわけではありません。いまだ発展段階にあるといえ、成功率は他の不整脈よりは劣り合併症の発生率も多いため、より効率的で安全性の高い方法が考えだされているところです。それでも、心房細動の唯一の根治療法となりえる治療法であり、日本循環器学会のガイドラインでも適応があれば施行することが勧められています。この治療法に最も適しているのは、適切な薬物治療を行っても再発を繰り返す患者さんや症状が強い方ですが、その他の方でも状況に応じて行っているのが現状です。

2)ペースメーカ、植え込み型除細動器(ICD)、および心臓再同期療法(CRT-D)について
心臓は1日に約10万回休むことなく拍動しつづけ全身に血液(酸素と栄養分)を送り続けています。心臓の各部位が効率よく興奮するために必要なのが洞結節(どうけっせつ)と刺激伝導系とよばれる特殊な心筋による電気的興奮です。心臓を収縮する命令を出す指令センターが洞結節で、洞結節からの命令を伝える電話線のような役割を担うのが刺激伝導系です。洞結節で出された命令は、心房、そして遅れて心室の順に伝わり、筋肉が電気的に興奮し、次いで機械的収縮を起こします。この繰り返しで心臓は規則正しくリズムを刻み、血液を全身に送り出しているのです。

不整脈には、脈が速くなる頻脈と遅くなる徐脈がありますが、徐脈が起きるのは前述の洞 結節または刺激伝導系がきちんと働くなったことが原因です。専門用語で、前者は「洞不全   症候群」、後者は「房室ブロック」とよばれています。
「洞不全症候群」は、心臓のリズムの指令センターである洞結節の故障により起こります。タイプは様々ですが、1分間に30回しか収縮の指令が出せなくなったり、突然数秒間にわたって全く指令が出せなくなったりします。このような状態になると、心室も収縮せず血液が送り出せなくなり、意識がもうろうとしたり、意識を失うことがあります。「房室ブロック」は指令センターからの命令を伝える送電線が切れてしまっている状態といえます。心房と心室とは別に勝手にゆっくりしたリズムで収縮する状態になり、脳や全身に必要な血液が十分に行きわたらなくなります。 この状態がひどくなると、意識を失ったり、時には生命にかかわるような状態になることもあります。
このような徐脈性不整脈には、ペースメーカの植込み手術が有効な治療手段となります。植込み型のペースメーカは、電池と電子回路からなる電気刺激発生装置(ジェネレーター)と電気刺激を伝えるための導線(リード)の2つの部分からできています。導線(リード)の先を心臓にとりつけ電気刺激発生装置(ジェネレーター)を接続すると、患者さんの心臓拍動の 状態に応じて、ジェネレーターから一定のリズムで心臓に電気刺激が伝わり、それに応じて心臓が拍動する仕組みになっています。

一方で、元気だった人が突然急死してしまう突然死の半数以上は心臓の不整脈、特に致死性の頻脈であることが知られていますが、前述のペースメーカは頻脈性不整脈には対応していませんでした。ペースメーカ機能に重症の頻脈に対する機能が付加されたものが植込み型除細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator: ICD)あり、日本では1996年から保険の適用を受けています。
ICDは、致死性の重症不整脈(心室頻拍、心室細動など)の治療のため心臓の動きを常時、自動的に監視し、頻脈が検出されると適切な治療を行い、死に至 る事を防ぎます。具体的には、まず検出された頻脈の治療が必要であるかどうかを自動的に識別し、治療が必要と判断された場合は、検出された頻脈の速さや頻脈の種類により、「抗頻拍ペーシング治療」、「カルディオバージョン」、「除細動」(いわゆる電気ショック)などの段階的な治療が行われます。ICDもペースメーカと同様に本体と電極リードから構成されていますが、前述のような高度の機能を備えているため、本体、リードともペースメーカよりはサイズが大きくなっています。
また、ペースメーカ治療の最新バージョンでは心不全の加療も可能になっています。この治療法は心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy: CRT)と呼ばれ、日本では2004年に保険が適用となり、重度の心不全患者さんのQOL(生活の質)を向上する画期的な治療法として普及が進んでいます。CRTを簡単に説明すると、心臓内の収縮のタイミングのズレをペースメーカ等で補正することで、正常に近いポンプ機能をとり戻す治療法です。また、心不全患者さんの死亡原因の3~6割が突然死でその多くが頻脈性不整脈によるものであることから、これらの不整脈に対する治療も併せて行う必要があります。

心室同期障害に加え致死的な不整脈を起こしたことがあり突然死の危険性を有する患者さんでは、そのどちらも治療できるCRT-D(両室ぺーシング機能付き植込み型除細動器)治療を行うことがあります。CRT-D治療は、心室同期障害を改善する「心臓再同期療法(CRT)」と、致死性不整脈による突然死を予防する「ICD(植込み型除細動器)治療」の両方の機能を併せもつ機器です。さらに、最新のペースメーカ、植え込み型除細動器(ICD)、および心臓再同期療法(CRT-D)は、たえず機器本体および植込み患者の心臓の状況を確認し記録していますが、この情 報が、電話回線を通じて自宅から専用のサーバーに送られ、医師、看護師らはインターネットを介して送られた植え込み機器の情報を確認することができるようになりました。
この新しい遠隔医療システムが「遠隔モニタリング」であり、このシステムを使ったネットワークシステムの構築により、医療の効率化や不整脈などの早期発見・早期介入が可能となりつつあります。

膠原病性肺高血圧症

「膠原病(こうげんびょう)性肺高血圧症」とは、「膠原病」の患者が「肺高血圧」を併せ持つようになった状態のことをいいます。
「膠原病」は、一つの病気の名前ではなく、全身の皮膚や内臓に炎症が起こってしまう病気の総称です。主に、関節痛や関節の変形を症状とする「関節リウマチ」や、臓器に炎症が起きる「全身性エリテマトーデス」、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎など、今では50を超える病気が膠原病に分類されています。

一方の「肺高血圧」は、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が高くなった状態をいいます。膠原病の患者は、さまざまな原因で肺高血圧症を併発することがあります。
本症は心不全の原因となり、生命予後を悪化させることが知られています。

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階段を上ると息切れしやすい、体がだるいといった症状は、本症に限らず、いろいろな病気が原因で現れます。しかし、発しんや、寒いところで指先が白くなるなどの皮膚症状、筋肉や関節の痛みやこわばりなどもある場合は、膠原病性肺高血圧症が疑われます。 また、膠原病で通院されている患者で、以前と比べて息切れの症状が増してきた場合にも、肺高血圧症の併発を疑わなければなりません。

数年前まで、本症に対する有効な治療法はありませんでした。しかし、治療効果が高い薬剤が開発され、症状を軽減して病気の進行を抑えることができるようになりました。 そこで、できるだけ軽症の段階で肺高血圧症を見つけ、重症になる前に治療を始める「早期診断、早期治療」が重要となってきました。せっかく使えるようになった治療薬も、重症化してしまってからでは効果が乏しいためです。

本症を疑った場合には、まず心臓超音波(エコー)検査を行います。しかし最終的な診断には、入院して肺動脈の圧力を測定する必要があります。 ところが、これらの検査で肺高血圧症と診断された時点では、肺の血管がかなり傷んでしまっていることが分かってきました。そこでわれわれの施設では、これらの検査中に軽い運動を行ってもらい、もっと早い段階で肺高血圧症の存在を確認しようと試みています。
前述した症状が気になる方は、かかりつけ医と相談して、徳島大学病院循環器内科の肺高血圧症外来を受診されることをお勧めします。

徳島大学病院 循環器内科 肺高血圧外来
                    第1、3、5週の木曜日  担当:山田博胤


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