「放射性医薬品の製造〜出荷まで」
日本メジフィジックス(株)千葉工場 金井 喜寛

1.概略
 放射性医薬品は、造り溜めができないために、受注生産体制をとっている。
1日単位で、注文(状況)→製造計画→製造(製剤化)→品質検査→包装・梱包→出荷の行程が繰り替えされている。放射性医薬品の製造から出荷までは、各工程毎に専門の部署が責任を持って、かつ強固な協力体制を保ちながら確実に行っている。

2.製剤化
当社の製造・出荷している放射性医薬品には、製造方法の違いにより3種類に分類される。放射性医薬品の原料である「放射性物質」を自家生産する方法(サイクロトロン製剤)、海外より調達する方法(テクネチウム製剤)とがある。もう1つは、放射性医薬品そのものを輸入する方法である。
ここでは、サイクロトロン製剤の放射性物質の生産から製剤化までを、以下に説明する。

@ 放射性物質の生産
67Ga, 81Rb-81mKr,123I,201Tlなどの放射性物質は、サイクロトロンを用いて容易に生産できる。下記にサイクロトロンで生産されるときに利用される核反応の一例を示す。

  (核反応の例;201Tl )
203Tl(p,3n) 201Pb    → 201Tl   →  201Hg(安定)
   EC、T1/2 9.4h   EC、1T1/2 73h
 
203Tl(ターゲット物質)に対し、サイクロトロンで加速されたプロトン(p)を照射することにより、核反応が起こり、201Pb (生成核)が生成される。これは半減期(T1/2)9.4hで崩壊して、目的の201Tlが生まれてくる。
  A 放射性物質の分離
放射性医薬品の原料を得るためには、ターゲット物質から目的の核種を分離精製する必要がある。一般的によく用いられる方法として、溶媒抽出法がある。
ターゲット物質(目的の核種を含む)を酸を用いて溶解し、pH調整を行った後、有機溶媒を添加・撹拌し、目的の核種を有機溶媒相に選択的に抽出する。有機溶媒は適当な方法により除去し、放射性医薬品の原料(バルク溶液)を得る。
B 製剤化
バルク溶液は製剤室に持ち込まれ、放射能アッセイ→希釈・調製→小分け分注の無菌操作され、放射性医薬品が製造される。シリンジタイプの製剤(クエン酸ガリウム、塩化タリウム等)では希釈・調製後、シリンジ製造装置により、分注→真空打栓→全数外観検査(目視)→シリンジ放射能アッセイ→Kコンテナ本体へ挿入→Kコンテナ蓋圧入→製品排出の一連の行程を自動で行っている。

3.品質検査
   製剤化が終了した製品は、直ちに品質試験が実施される。試験項目には、1)性状
2)確認試験(核種、標識化合物)、3)pH試験、4)純度試験(核的純度、放射化学的純度、化学的純度)、4)エンドトキシン試験、5)無菌試験、6)定量試験がある。
 勿論全ての項目に合格した製品が出荷可能の判定を受け、この後出荷されることになる。試験に要する時間は、1品目当たり約2時間程度である。ただし、無菌試験には、14日以上の時間が必要である。
 品質検査に合格した製品は出荷されることになるが、製品のサンプル(キープサンプル)の保管が法的に義務付けられている。 保管期間は薬事法上「有効期間+1ヶ月」となっているが、当社の場合は「有効期間+4ヶ月」としている。

4.(包装)梱包・出荷
放射性医薬品の梱包から出荷までは、「自動包装・仕分けシステム」により自動で行われている。以下に行程で説明する。
1)製品→天面ラベル貼付→一次ストックへ格納(ピッキング待機)
2)(注文;OA)→宛先伝票・運搬標識ラベル発行→輸送箱に貼付・内装材投入(人手)→RI管理台帳用ラベル発行・付属品(内装材上蓋に人手投入)→製品をピッキング・輸送箱へ投入→検品→内装材上蓋投入→封緘→輸送指数・病院名ラベル打ち出し・貼付→仕分け→出荷
このように一部手作業が入るが、一連の行程は自動により行われる。
以上。



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