第301回 定例会 日立柏工場見学 印象記

株式会社日立メディコ 柏工場見学 印象記
      (社)日本アイソトープ協会 医薬品部 柳田 幸子
平成11年1月9日(土)、日立メディコ柏工場の見学会が行われました。
まず、私たちはフォーラム柏という瀟洒な3階建ての建物に案内され、日立メディコの方より自社のシンチレーションカメラ・データ処理装置・PET装置について講義を受けました。それから1階のメインホールにて実物の見学です。ここには、CT・超音波・X線・核医学・MRI等の装置が展示されていました。個人的には、MRIの圧迫感の少ないワイドオープンガントリーとSPECT装置のベッドの細さが印象に残っています。
次はいよいよ工場見学です。工場内は天井が高く、柱もあまりないので、かなり広く感じました。お聞きしたところによると、約1000人の方が働いているとのことでした。
今回は主にCTとMRIの製造工程を見せていただきました。医療機器がどのように作られているのかなど普段考えたこともありませんでしたが、なんとそれは1台1台手作業で組み立てられているのです。CTの製造は月に40台程度、MRIは30台程度で、各半数くらいが輸出されるのだそうですが、これではオートメーション化は難しいのかもしれません。MRIの磁石は10トンもあり、それを持げるためにはエアを使うのだそうですが、残念ながら実際に運び出している場面は見られませんでした。
CTの検出器部と思われる大きな黒い輪の部品が何気なく積み上げられていたり、技術者の方が機器本体の配線をいじっている姿などを目の当たりにすると、「手づくり」の感が強くなります。装置を完成させたときの満足感はどれほどのものだろうと想像すると、こちらまで「ものづくりの喜び」に触れたようで、嬉しくなってしまいました。
見学会に参加して、以上のように貴重な見聞を得るとともに、技師の皆様やメーカーの方ともお話しする機会が持てまして、とても感謝しております。日立メディコの社員の皆様と、企画をしていただいた東京核医学技術研究会の世話人の方々にお礼を申し上げます。



「日立柏工場見学会」に参加して
    日本メジフィジックス梶@伊藤 章
 JR柏駅から日立の企業バスで30分程度で、HITACHI MEDICAL FORUM KASHIWAに到着。数人の「前に来た時はここなかったよね。」という声が聞こえた。それもそのはず、このフォーラムは完成して1年とまだまだ新しいからです。中に入ってまず、会議室にて角度可変2検出器型シンチレーションカメラRC−2500Wについての説明を受けた。「唯一(最後)の国産γカメラメーカーとして、今後も頑張っていく」と強調されていた。世界的なγカメラメーカーの統合、提携のうねりの中、日本国内のメーカーもその波からのがれるすべはなく、結果として国内でγカメラの開発を続けるのは日立さんだけという事になった様です。是非とも、頑張っていただきたいものです。さて、そのRC−2500Wの中味ですが、赤外線近接センサー、ダイナミックSPECT、コリメータ自動交換、散乱線除去法等、これまでの日立メディコさんの製品にない、新たな機能を搭載しているそうなので病院で実地に見られるのを楽しみにしています。説明会後、フォーラムの見学に移りました。ここには、MRI、X−CT、超音波、X線、核医学の装置が各々2機種展示されており、実際に稼働させる事ができます。私も使う立場であれば、もっと興味深く見学できたろうと思います。2Fでは、ビスタサロンと名付けられていましたが、PAXや遠隔地からの画像の読影システム等があり、興味深く見学しました。これで終わりかなあと思ったら、再び外へ出て寒風を切って工場へ。しかも、入工直前には工場消防隊(私設)も放水で我々を歓迎してくれました。広い工場内には見学用コースが設けられており、従業員の方々の反応からも見学者がけっこう多い様な印象を受けました。さて、工場内にはロボット化された工作機械が一心不乱(?)に動く一方で、人の手による細かい組立て作業を行っているなど多種多様でありました。組立ての終わったものは検証ルームにて検証し、合格したもののみを出荷するとの事でした。ここでは、X−CTも実際に放射線を出すので、管理区域が設けられており、MRにおいても完璧な磁気遮蔽室に入れての検証が行われていました。MRやCTにおいてはフィリップスへOEMで出しているため、フィリップスの名前のついたものが多数あり、販売台数も国内より国外の方が断然多いと聞き、さすが世界の日立という思いを強くしました。これで日立メディコ柏工場を後にして帰路につくのですが、一部会員より建設中のサッカースタジアムを見たいとの声があがり、たいして遠回りでもないので通ることになりました。おかげで、国立がんセンター東病院の前も通ることができて良かったと思いました。そこから駅までの距離はそれほど遠くはないのですが、道が狭いせいか渋滞が極めてひどく、1人で乗っていたらやりきれない気分になっていた事でしょう。しかしそこはそれ、いつもの核技研のメンバーであるし、楽しい新年会も待っているしという事で、気にもならず楽しい一日でありました。ちなみに、新年会は、ビア中華麗宮飯店でした。最後にお骨折りいただきました役員の皆さま、日立の皆さまありがとうございました。



 柳田様 伊藤様、印象記 ありがとうございました。(世話人一同)



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