新人セミナーPart
放射性廃棄物について
日本アイソトープ協会 萩田 忠美 氏
・廃棄物とは
占有者自らが利用し、また他人に有償で売却や再利用ができないために不要となったもの
・廃棄物に関係する主な法律と廃棄物
廃棄物処理法 :一般廃棄物、産業廃棄物など
海洋汚染防止法 :船舶からの廃棄物など
鉱山法 :鉱搾、鉱山からのばい煙など
下水道法 :下水
水質汚染防止法 :河川などへの排水
大気汚染防止法 :ばい煙、粉じん、排ガスなど
原子炉規制法 :放射性廃棄物
放射線障害防止法 :放射性廃棄物
医療法 :放射性廃棄物
薬事法 :放射性廃棄物
臨床検査技師法 :放射性廃棄物
・放射性廃棄物
1.核原料、核燃料および原子炉など規制に関する法律
核燃料物質または核燃料物質に汚染されたもの
原子炉廃棄物
再処理廃棄物
2.放射性同位元素等による放射線障害に関する法律
放射性同位元素または放射性同位元素によって汚染されたもの
3.医療法
4.薬事法:RI製造業者から規制する
5.臨床検査技師、衛生検査技師などに関する
* 診療放射線技師は3.5.に関わり仕事をしている
・アイソトープ協会への引き渡し
事業者の登録 −−−RIの使用を開始する前
ヨ
容器の貸与申込 −−−RIの使用を開始する前、容器が必要な都度
ヨ
RI廃棄物の集荷申込 −−−RI廃棄物の引き渡しを希望する都度
ヨ
RI産業廃棄物の引き渡し −−−集荷の立会い、必要書類の確認
アイソトープ廃棄業を許可され行っているのはアイソトープ協会のみである
2600の事業所と契約をしており、年間に計画的に集荷している
昨今廃棄物の取り締まりが厳しくなっている
放射性廃棄物も放射性物質として取り扱わねばならない
・放射性廃棄物の分類
分類 容量 放射能制限値 線量当量率制限値
可燃物 50L 3H、14C、125I、131I≦40MBq
その他の核種(α核種を含まないもの)≦400MBq
5μSv/h以下(容器表面の線量当量率)
難燃物 50L 同上
不燃物 50L 同上
非圧縮性不燃物 50L 同上
動物 50L 同上
無機液体 25L 3H、14C、125I、131I≦2kBq
その他の核種(α核種を含まないもの)≦20kBq
5μSv/h以下(容器表面の線量当量率)
焼却型フィルター 50L 3H、14C、125I、131I≦40MBq
その他の核種(α核種を含まないもの)≦400MBq
5μSv/h以下(梱包表面の線量当量率)
通常型フィルター 50L 同上
通常型チャコールフィルター 50L 同上
*動物は主に研究施設より廃棄される
*無機液体は25Lのポリタンクを用いそれをドラム缶に入れて保管する
・年間集荷予定
集荷地区・期間を年間を通して計画的に決めている
関東は年間を通して集荷の受け付けをしている。それ以外の地区はその都度連絡を受け対応をしているがトラックなどの運搬費がかさみ廃棄依頼者の負担となるのでできるだけ集荷予定期間に廃棄した方がよい
・協会に廃棄を委託できないもの
1.核燃料物質、核原料物質 −−−障害防止法からはずれるため
2.85Kr、3Hガスなどの気体状のもの −−−取り扱いが難しいため
3.揮発油、アルコール、二硫化炭素等の可燃性液体
4.トルエン、ジオキサン等の有機溶媒
5.人体からの排泄物、血液、血性および病原体の付着したもの
6.毒劇物、爆発物および自然発火する恐れのあるもの
7.腐敗するもの、または多量の気体を発生するもの
8.破砕、焼却等の減容処理を行ったもの
9.その他の法律により禁止されているもの
* 施設が整備された折には4.5.の処理をしていきたい
・焼却処理装置
医療系の廃棄物は岩手県の滝沢村に設置している
焼却装置、圧縮装置、濃縮装置の3つの施設を持つ
1.焼却装置 焼却炉で焼却し排ガスはフィルターで浄化する。
処理は放射能測定をしながら行う
燃焼(600〜900度)
モ 発生したガスをセラミックフィルター(500〜600度)
モ 空気を混合して高性能フィルター(200度)
医療系廃棄物は分別(特に塩素系)がきちんとされており、ダイオキシンの発生は0.4ng/m3と非常に少なくなっている。りんやアルミはセラミックフィルターの表面に蒸着し水飴状になりフィルターの目詰まりとなってしまう、鉛はセラミックフィルターを通過し、高性能フィルター上に金属となって固まってしまうので分別には特に注意してもらいたい。
2.圧縮装置 不燃物(ガラス、シャーレ、注射針など)
第1軸シリンダー(50t圧)、第2軸シリンダー(50t圧)、
第3軸シリンダー(250t圧)でプレスし、圧縮して減容する
3.濃縮装置 現在は洗濯廃水を主に処理している
加熱してボイラーで濃縮し、その後、乾燥して粉体、固体にする。ガスは回収してコンデンサーで冷却して水に溶かし放射能測定をして基準値以下の場合は排水する。
*かなり気をつけながら処理をしているが一部の方から批判を受けている
・集荷廃棄物本数
産業廃棄物(40000万t) 一般家庭廃棄物(5000万t) 合計45000万t
放射性廃棄物 2000〜3000t
医療廃棄物は数年200Lドラム缶8000本/年(50Lドラム缶32000本/年)で推移しており、協会の施設は医療廃棄物のみを処理する場合、今後10〜20年の保管能力を有しているが、研究RI廃棄物が9000本/年(一部2500本/年を日本原子力研究所で処理をしてもらっている。残りの6500本を協会が処理をしている)あり、平成12年には貯蔵が一杯になると予測されている。現在、医療用廃棄物をメインとした候補地(千葉、東北で)を探しているが、放射性廃棄物ということで理解がなかなか得られなく土地の所有にいたっていない。
・平成8年度RI廃棄物事業所数
総数 1350
医療機関 675
教育機関 245
研究機関 356
民間機関 68
その他 6
Q 針などの専用容器は?
A ポリスチレンの専用容器はあるが、普通の缶に入れてくれればよい
(文責 上原 晋)
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