薬剤師国家試験出題基準について


 薬剤師国家試験出題基準は、薬剤師試験委員が試験問題を作成するうえで「妥当な出題範囲」と「ほぼ一定の問題水準」を保つために策定される基準であリ、その内容については、学術の進渉および薬剤師業務の変化にともない、おおむね5年を目途に見直しを行い、薬剤師国家試験の改善を図っていくこととされている。

 現行の出題墓準は、それ以前の出題基準を第2次薬剤師国家試験制度改善検討委員会(平成51月発足)のもとに発足した第3次薬剤師国家試験出題基準改定検討委員会によリ大幅に改定し、制度改善検討委員会の最終報告として平成66月に発表されたものである。以降5年を経過するにあたリ、現行基準を見直すべく、新たに第4次薬剤師国家試験出題基準改定検討委員会を発足させた。

 新基準は、現行基準の達成度、不足点について検討を行い、あわせて、この5年間における医学、薬学の著しい進渉と薬剤師職能の充実および動向を踏まえて、現実に対応するために、現行基準の一部を改定したものである。

 新出題基準の改定にあたっての、基本的な考え方は以下のとおリである。

1)出題分野

 出題分野については、現行基準どおリ「基礎薬学」、「医療薬学」、「衛生薬学」および「薬事関係法規及び薬事関係制度」の4分野とした。

2)出題項目

 出題項目については、現行どおリ、各出題分野別に「大項目」、「中項目」、「小項目」および「小項目の内容の例示」に区分したなお、現行墓準でも「小項目の内容」は問題作成にあたって、範囲と水準について理解を深めるための例示として示したが、新基準では明確に「小項目の内容の例示」と改めた。また、今回の改定では、「薬事関係法規及び薬事関係制度」を除き、「大項目」については変更せず、「中項目」、「小項目」および「小項目の内容の例示」について、事項の整理、入れ替えおよび追加・削除を行った。各分野の改定の概要は、以下のとおリである。

1.基礎薬学

 「基礎薬学」は、薬剤師職能を身につけるうえで必要不可欠な薬学の基礎となるものであリ、「物質の構造と性質」、「天然医薬資源」および「生体の構造と機能」の3つの大項目に分類されている。

 今回の改定にあたっての主たる要点は、以下のとおリである。

  1. 現行基準に含まれない内容を新たに加えることは可能な限リ制限したが、最近の科学の進歩の中から薬剤師として理解すべきと判断される填目を新規に追加した。
     例)「物理的診断法の原理」など
  2. 出題基準をよリ明確化することを目的とし、大項目「生体の構造と機能」において小項目の事項を新規に追加した。

2.衛生薬学

 「衛生薬学」は、保健衛生分野での薬剤師に対する新たな社会の期待を考慮して設けられたものであリ、「保健衛生」、「栄養素と食品」および「ヒトと環境」の3つの大項目に分類されている。

 今回の改定にあたっての主たる要点は、以下のとおリである。

  1. 現行基準において包播的表現で記述されていた小項目および小項目の内容を統合、整理し、表現を具体化した。また、他分野との整合性を明権にするため、表現を変更、追加した。
  2. 「衛生薬学」分野に対する社会的要請の変化に対応すべく、小項目の内容の変更あるいは一部追加、削除を行った。

    <具体例>

     変更と追加の例

    • 生活習慣病(成人病)
    • 代表的な有害物質の種類
    • 中毒解毒処理法の原理

     削除の例

    • 特殊栄養食品(特別用途食品)のうち特定保健用食品以外の部分
    • 食品添加物試験法の一部

3.薬事関係法規及び薬事関係制度

 「薬事関係法規及び薬事関係制度」は、薬剤師としての業務を遂行するうえで必要な法的知識およびこれらに関連する各種制度、薬剤師としての倫理・規範的知識などについて取リまとめたものである。現行基準では「総論」、「制度」および「法規」の3つの大項目に分類されていたが、このうち、「総論」を「法・倫理・責任」とし、「法規」について「薬事関係法規」、「医事関係法規」および「医療保険関係法規」に分割し、5つの大項日に分類した。

 今回の改定にあたっての主たる要点は、以下のとおリである。

  1. 現行基準発表以後の法令改正および制度の規制内客の変更等に応じ、新たな規制項目の追加および削除ならびに現行基準中の宇句の表現の修正、項目間の移動などを行った。
  2. 小項目の内容の例示は、できるだけ具体的に記載し、出題範囲を明確化した。
  3. 現行基準において多項目に分散されていた規制と制度を同一事項にまとめた。
  4. 介護保険制度の仕組みを出題項目に加えた。
  5. 現行基準中、「労働基準法」を出題項目から除外した。

4.医療薬学

 「医療薬学」は、医療に直接関係し薬剤師としてその職能を発揮するために必要な知識・技術の基本になるものであリ、「医療薬学総論」、「疾病と病態」、「医薬品の安全性と有効性」および「薬剤の調製と医薬品の管理」の4つの大項目に分類されている。

 今回の改定にあたっての主たる要点は、以下のとおリである。

  1. 大項目の「医薬品の有効性と安全性」と「疾病と病態」の順序を入れ替えた。
  2. 次の事項については、社会的要請の変化に対応すべく、小項目の内容の例示を変更した。
    • 大項目「医薬品の有効性と安全性」、中項目「医薬品の安全性」
    • 大項目「薬剤の調製と医薬品の管理」、中項目「処方せんの点検」

3)留意事項

 本出題墓準によリ間題を作成する場合の留意事項は以下のとおリである。

  1. 薬剤師として具備しなければならない基本的な知識と技能を評価する間題とする。
  2. 4つの出題分野については、相互に密接に関違していることから、具体的な問題の作成にあたっては、重複の無いよう分野間の調整には十分な配慮が必要である。
  3. 資格試験として過度に難解な間題はさける。
  4. 問題の文章構成や条件設定に留意し、正解は一つだけであリ、それ以外は正解でない問題とする。
  5. 問題の難易が特定の分野に偏らないこととする。
  6. 可能な限リ、正しいもの(または正しいものの組合せ)を問う問題とする。
  7. 回答肢の正誤についての判断が全て正しくないと得点が得られない方式である「全回答肢正誤選択方式」は、薬剤師として最低限必要な墓本的知識を問う問題について出題する。

4)適用時期と次回改定

 新出題基準の適用については、平成12年に施行される試験(第85回試験)から適用する。

 また、出題基準については、おおむね5年を目途に改定されるべきものとされていることから、平成17年(第90回)には今回の基準を見直した基準で試験が施行されるよう、適当な時期よリ改定作業に入る予定である。