
移植膵島が生着していると、血糖値に反応してインスリンを分泌しますので、インスリンの注射が不要となることが期待されます。膵島の数が少なかったり、移植膵島の生着が十分でなかった場合などは、インスリン注射が必要です。しかし、この様な場合でもインスリン注射の量が減量できたり、インスリン治療による血糖値の変動幅が小さくなったりして、血糖のコントロールは容易になります。その様子はインスリンが体内で作られていることを証明するC-ペプチド濃度が、移植前に比べると血中や尿中で増加することで確かめられます。
ここ10年間に膵島移植の方法はいろいろと改良され、移植成績も向上しています。2000
年にカナダのアルバータ大学で膵島移植を受けた12例の患者さんは2〜3回の膵島移植が必要でしたが、結果として全員移植後にインスリン注射が不要となりました。しかし、移植後1年、2年と経過するとインスリンの分泌量が少なくなって、移植後5年ではインスリン注射が不要となるかたは7.5%(下図B)に低下しています。一方、C-ペプチド濃度が移植前に比べ、増加しているかたは82%に認められています(下図A)。これらの方では再びインスリン注射が必要となりますが、血糖のコントロールは移植前に比べて容易になり、低血糖の頻度は減少します。
なお、今後もわが国における移植成績を検討し、最適と思われる移植方法の議論を続けてまいりますので、、現在のレシピエント選択基準なども将来的には変更される可能性があります。
いずれにせよ、膵島移植は必ずしも長期にわたりインスリン注射が不要となるものではないこと、しかし、膵島が生着しているとインスリン投与量はすくなくなり、血糖のコントロールは容易になります。膵島移植により将来の合併症を防げるのではないかとの期待はありますが、今のところ結果はでていません。
(Diabetes 54, 2005より改変)
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文 献
1) NEJM 343:230, 2000
2) Diabetes 50:710, 2001
3) Science 306:34-37, 2004
4) Diabetes 54:2060-9 , 2005
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2007年3月までに65回の膵島分離が行われ、34回の移植が18人におこなわれています。
| 実施例 | 年齢・性 | 移植回数 | 移植後のインスリン量 |
| 1 | 30代・女性 | 2 | インスリン減量 |
| 2 | 10代・女性 | 2 | インスリン減量 |
| 3 | 30代・男性 | 3 | インスリン減量 |
| 4 | 30代・女性 | 3 | インスリン離脱 |
| 5 | 40代・女性 | 3 | インスリン離脱 |
| 6 | 30代・女性 | 3 | インスリン減量 |
| 7 | 30代・女性 | 3 | インスリン減量 |
| 8 | 50代・男性 | 3 | インスリン離脱 |
| 9 | 20代・女性 | 2 | インスリン減量 |
| 10 | 30代・女性 | 1 | インスリン減量 |
| 11 | 30代・女性 | 1 | インスリン減量 |
| 12 | 60代・男性 | 1 | インスリン減量 |
| 13 | 30代・男性 | 1 | インスリン減量 |
| 14 | 30代・女性 | 2 | インスリン減量 |
| 15 | 20代・女性 | 1 | インスリン減量 |
| 16 | 30代・男性 | 1 | インスリン減量 |
| 17 | 20代・女性 | 1 | インスリン減量 |
| 18 | 30代・女性 | 1 | インスリン減量 |