英語を書く

この商売である程度経歴を積んだら,英語を書かなくてはならない.幸い,日本の英語教育のレベルは高く,多くの日本人が正しい英語を書く基礎を修得している.日本人医学・生命科学研究者にとって最も大きな問題は,native English speakerによる間違った文章や冗長な言い回しを,彼らが書いた論文を読むことによって,知らず知らずのうちに修得してしまうことだ.この弊害を避けるためには,やはり勉強しなくてはならない.

だって考えてもみたまえ,日本人の書く日本語論文の表現がどんなに拙劣なことか.そして良心的な日本人研究者が,正しく,わかりやすい日本語を使うのに,どんなに苦心していることか.

目的別にお薦めの本は次の通り.

1.手紙を書く:黒木登志夫/F・ハンター・藤田 著.科学者のための英文手紙の書き方.朝倉書店.

2.論文を書く:

1)市原A・エリザベス著.ライフ・サイエンスにおける英語論文の書き方.共立出版.
日本人がbiomedical journalに論文を書く場合,もっとも基本となる教科書といっていいだろう.何度でも通読し,また読み返すこと.

2)Lester S King著(助川尚子・日野原重明 訳)なぜ明快に書けないのか.メディカルサイエンスインターナショナル社
文章作法というより,論文の組み立て,論理構成をどうするかという点に主眼を置いている.これも必読.こういう本を面白く読めるようになればしめたもの.

3)William Strunk Jr. and EB White. The elements of style. MacMillan, New York.
英語を母国語とする人々が容易に犯しやすい間違いを集めて,正しい書き方を明確に示している.英米人の書いた論文にある典型的な間違い(例えば,howeverや,butを文頭にもってくるような)を明らかにするために便利な本.

4)AS Brender. Three little words. A, An, The. A systematic approach to learning English articles. McGraw-Hill.
日本人が最も苦手とする冠詞の使い方をわかりやすく解説している.
 

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