2003年1月にWHOの事務総長として,前任の豪腕女傑ブラントラントの後任として,Lee Jong-wookが,WHO史上かつてなかった大激戦の末,選ばれた.東アジア系の事務総長と言えば,すぐに思い出すのが,彼の二代前,1988年から98年までの10年間の長きにわたってWHO事務総長を務めた,我らが中島宏博士である.しかし,2003年6月号のScrip Magazineは,リー氏と中島氏は,流暢な日本語を操る他には,何ら共通点がないとしている.
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極端に悲観的な見方をする人たちは,リー氏の就任は中島宏博士が事務総長だった時代の再来になると懸念している.この懸念はWHOの職員を震え上がらせる.中島氏の在任中,WHOの信頼性,保健医療に対する貢献は最低の状態になった.WHOの評価を修復不可能なほど低下させたのである.しかしリー氏に関して同様な懸念を抱いている人たちは多くの過ちを犯している.(中略)
リー氏は中島氏とは全く対照的な人物である.第一に,中島氏は意思疎通に関して大きな問題を抱えていた.英語もフランス語も操れなかったため,最高レベルの会議や各国首脳との会合の際,大きな障害となった.しかし,リー氏はフランス語は話さないものの,流暢に英語を話し,日本語や韓国語にも通じている.また,事務総長以前の経歴は,中島氏の場合,地域事務局の運営に限られていたが,リー氏は大規模な国際的計画に関わっており,前任のブラントラント氏の最高政策顧問でもあった.つまり,リー氏は事務総長の職務に向けて十分に鍛えられている.
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